第2話 死後

 朝、起きると倦怠感が酷く。このまま死んで、瑞菜の元に行きたい気分だ。


 しかし、今の時代を生きて行く為には大学でも出ないといけない。正確には家の教育方針である。


 私は寝ぐせを直して高校に通う準備を始める。母親に作ってもらったお弁当をトートバッグに入れて自転車で登校する。


 その後、教室に着くと私はスマホで読書を始める。それはティーンズ小説の死んじゃう系であった。


 そう、ヒロインが最後死ぬ話しだ。この系統の小説は作者の大切な人が実際に死んでいる場合が多い。


 まれにヒロインが生き続ける小説がある。


 私はこの小説のヒロインが生き続ける事を願って読んでいる。


 死んでしまった瑞菜が帰って来る訳の無いのにこんな小説を読むは正直辛い。


 でも……。


 心に開いた穴は痛みを発している。会いたい……瑞菜に会いたい。


 その後、授業が始まると男性の数学教師が教室に入ってくる。


 この女子校の決まりで結婚していなければ男性は教壇に立てない規則がある。教室に入って来た男性教師は、勿論、結婚しているが年齢は若くアイドル的な存在だ。


 しかし、私は男なんて何処が良いのか理解できなかった。


 その結果、授業は真面に受けず教室の後ろに置かれた瑞菜の机と椅子ばかり気になる。


 風邪で休んでいる訳ではなく、死んでしまった実感を与えるのであった。

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