第3話 女性からの告白
一日は早く終わる、生きている意味が分からなくても時間は流れる。
私は高校の部活である華道部の活動が終わり自宅に帰ろうとしていた。
「先輩、一緒に帰りましょう」
声をかけて来たのは同じ華道部の後輩の節花である。
「あぁ、いいよ」
「先輩、元気が無いです。私の笑顔で元気爆発です」
大げさな娘だ、私はいたって元気だぞ。しかし、感情は節菜を失った空虚感は満ちていた。
節菜は私に近づいて来て。
「なら、こうしましょう、先輩のこと好きになって良いですか?」
あああ、ここは女子校だ、程度の差は有るが女子同士が仲良くするのは普通だ。
「で、返事は?」
「構わない、私は女性しか愛せなくてね」
つい、本当の事を言ってしまった。
女子校でもクラスでは男性アイドルの話題など普通の女子の方が多い、私は覚悟を決めて節菜の反応を待つ。
「ヤッター、先輩とお付き合いができる」
ふ~う、肯定的な返事でよかった。
すると、節花は私の腕を取り強引に腕を組む。
うぅ……節花の胸に腕が当たる。私は頬を赤らめて一緒に歩くのであった。
翌日、私は拳を握り締めて想う。
そう、死なんて簡単だ。昼休みの時間に屋上から空を眺める。
今日は生理のせいか、普段よりブラックな気分が増す。
そんな事を考えていると、園芸部の冬美からメッセージが届く。
我が華道部はこの学園の園芸部の育てた草花を利用している。基本、花は値段が高いので日頃の部活動には園芸部の全面協力で成り立っているのだ。
私は校内にある園芸部の小さな温室に向かう。そこは女子校の花園と言っていい可憐な花が咲いていた。
私は美しい花々を見ていると。
「花は嘘をつかない、貴女の心は悲しみに満ちている」
冬美が私の表情を覗って頭の痛いことを言う。ホント、センチメンタルはいい加減にしないと。
「私で良ければ……っ」
冬美は頬を赤らめて言う。お前も百合告白か。幾らモテても、私の恋愛は真剣だ。二股などありえない。
あああ、節花と選べと申すか……。
小顔の冬美の顔が近づく。き、決められない。ここは一旦退却だ。
私は季節の花を受け取ると華道部に向かうのであった。
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