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第11話

教室の片隅。

窓際の決められた定位置は最後列。

教室という名の鳥かごの中。

私たちは。

黒板に撒かれた単語を必死で取りこぼさない様にとつつく従順な鳥のようだ。

だけれど、

それが個人の思考の中まで制御できるとは限らない。


ふわり。

カーテンがたなびいて不意に視界を横たわった雲色が隠す。

右前一席先の彼の顔を盗みみる

不意にそよぐいたずらな風になびく視界にちらつく髪にすら気にできない。


それでも。


《君だけを見ていたい。》




―――ねぇ。振り向いて。



なんて…。

気付けばそう願っている自分がいた。

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