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第5話
____《?》
まっすぐさすあれは。
…ひかりだ。
…そう。オレンジ色のひかり。
気になってそのオレンジ色を辿れば身体の感覚は急速に温度が奪われていく。
さぁぁっと血が引くように急激に。
___戻された。
意識が浮上してあっという間に現実が姿を表す。
いいところで引き戻された意識は現実をさす。
『あぁ。なんてことだ、
せっかくの世界が台無し。』
気分は急降下。
『せっかくいいところだったのに。』
零れた声たちは静まり返った空気にとけて跡形もなく消えていってしまった。
別に誰にきかせたいものでもなければ、そんなつもりなんて毛頭ないけど。
やりきれないものはやりきれない。
苛立ちかけた心を宥めつけるためにひとつ意識的に深く息を吸う。
この先の展開なんてわかってる。
わかっていてもやめる気にはならない。
だから。
もう一度と手元に瞳を向けるがもうそこには怪我をした獣も居なければ治癒の魔法も使えない。
なにもチカラなんて持ってない現実だけが横たわっている。
ただの味気ない黒々とした文字が均等に羅列されているだけだ。
『わかってた。』
そう。
『わかってたよ。』
だけど…。
だけど、それに酷く落胆する。
完全に興が冷めてしまった。
いくらぼやいたところで目の前の景色も変わらないし、魔法が宿ることもない。
指の腹でなぞる無機質な紙の質感ばかりが気になって黒い文字列はさっきの続きの世界への扉は開いてくれないみたいだ。
ため息をこぼしかけて。
________ふと”オレンジ色”。
黒々とした文字の上を走る”オレンジ”。
その先を辿って目線をあげた。
ここに来た時には青かった空がオレンジ色に染められて眩いほど強く今日という日を燃え尽きるかのように最後のひかりを放つ太陽がそこにいた。
黄昏の瞬く間に消え失せる強い”オレンジ”。
______今日もまたきょうがおわる。
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