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第4話

あぁ。世界はなんて残酷なんだろう。

1匙の薬草を粉した苦い薬を飲み込んで呼吸をひとつ、つく。

意識を集中させるようにゆっくりと瞳を開ければ瞬く間に目の前の獣の患部が煙をあげてひかりだす。

こんな後味の悪い薬を飲み下してやっとこうして漸くみえるようになるのだから私はなんて劣等生なんだろう。

はやく苦しむ彼らを苦痛の苛みから解き放ってあげたいのに。

たとえ姿形が禍々しく見えれども自我を忘れるほどいたぶられ狂ってしまっていようとも。

バチバチと光散らす忌々しい稲妻を湛え朦々と夥しい煙をあげる表面には見えぬ傷口。

それに比例するように獣は衰弱の一途を辿っている。


__『きらいだ。』



このなにもかも。

この稲妻も。

この禍々しい煙も。

こんなふうに苦痛を与えるものも。

こんなふうになるまで救うことの出来ない私も。


___なにもかも。

_____『きらいだ。』


意図的に大きく息を吸い込んで気を込める。

もう何度も口ずさんだ呪文。

考えずとも紛う事なく唱えられる呪文。

それでもこうして気を張らなければなんの効力も与えられないから。


胸の奥底から引っ張りだす。

引き替えに差し出すのは自我だろうか。


口が勝手に呪を唱えはじめ…



_____???

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