第18話初、ダンジョン探索

「ダンジョン探索ですか?」

「ああ、この学園の近くにできたらしい」


 俺は先ほどベルデットに聞いた話を四人に話して聞かせた。

 曰く、この学園の近くにダンジョンが出現した。そのダンジョンはまだできたばかりの若いダンジョンで、それほど難易度は高くないらしくということ等。


「実践訓練。ですね?」


 クレアは意気込んだ。元々真面目な奴だけどな。他の奴らも自分がどれだけやれるのかを試したい欲求があったようで、反対意見は出なかった。


「よし。それじゃあ、明日ダンジョン探索に出かけるぞ。授業は抜けていいそうだ。出席扱いにしてくれるってよ」

「おお、授業サボれるっすね」

「お前はそんなんばっかりだなステラ」

「そうですわステラさん。これも立派な授業ですのよ」

「わかってますって。でも、ダンジョン探索でしょう? 冒険者希望者としてはやっぱり行っておきたいっすよ」

「あたし・・・も」


 そういえば、下級生二人は冒険者希望だったか。

 それなら行っておいて損は無いだろう。

 ダンジョンは敵が出るだけじゃない。

 細い通路や待ち伏せなど、出現する相手が格下であっても危険を伴う。

 トラップなどについては言うに及ばずだ。


「んじゃあ、明日の昼過ぎに出かけるぞ」


 こうしてダンジョン探索は決定した。


****


「ダンジョン探索?」


 俺は一応副担任であるアドルフに話をした。

 するとアドルフは難しい顔を作り、ぽつりぽつりと口を開く。


「・・・その日は軍の方で用事がある。私は同行できないのだが」

「や、俺が行くからお前はいらねーんだが。一応な」

「そ、そうか」


 ・・・

 ・・・・・・


「ん? お前ひょっとして行きたいのか?」

「あ、いや・・・」


 アドルフは露骨に動揺した。

 そういえば、こいつ結構生徒達を真面目に指導していたしな(ステラとか)

 ちょっとにやける。


「な、なんだ?」

「いや、結構気に入ってるんだなこの仕事」

「ぐ、いや、勘違いするな。私が気にしているのは生徒達で」

「やっぱりなー。お前も好きだろ? 美少女」

「違う! 男女は関係ない。彼女達の懸命な姿に心打たれたのだ!」

「ふ~ん」

「・・・な、なんだ?」

「いーや、なんでも。まあ、今回は我慢してくれ」

「ふん」


 こいつも素直じゃねーんだな。


*********


 次の日。

 この日はよく晴れていた。

 学園から馬車を借り受け、俺達はダンジョンに向かう。

 今回、ミラとアドルフは留守番だ。

 ミラは戦った経験のない普通の村娘なので、当然連れてはいけない。

 アドルフは連れてくるのにまったく問題なかったのだが、用事があるなら仕方がない。

 まあ、アドルフには軍人としての仕事もある。

 副担任を任せている為、ほとんど免除されてはいるものの、真面目な性格なので、ちょくちょく軍の訓練所や事務仕事を行っている。

 おかげで俺が御者台に乗り、馬車の手綱を引く羽目になった。

 ダンジョンは学園から馬車を走らせてほど近い場所にあった。

 広く何もない高原に、一つ大きな洞窟がぽっかりと空いていた。

 どう考えても不自然な洞窟なので、すぐにそれが件のダンジョンだと分かった。 


「あれだな。お前ら準備はいいか?」

「「「「はい!」」」」

「基本、俺は何もしないからな。お前らが自分で考え行動しろ」

 「「「「解りました」」」」

 (本当に解ってるのかね、こいつら)

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