振られても、君と次の予定を
ちっこいワンコ
第1話 5限目って眠たくなるよね
4月、満開だった桜が散り、新しい葉が芽吹き始めた頃。
新入生の浮き足立っていた心も落ち着きつつあった。
俺……井上昌也は、5限目の授業で睡魔と戦っていた。
昼食直後の授業。先生の声もチョークが黒板を擦る音も、ぼんやりと遠くなる。
瞼が重くなる中、視線は自然と前の席に吸い寄せられた。
彼女、石崎明日香はノートにペンを走らせている。
スラスラと、流れるように。
だが、俺は知っている。
彼女は板書をノートに写しているのでは無く、小説を書き綴っていることを。
カリカリと文字を刻む音に合わせ、ポニーテールがぴょこぴょこ揺れる。
それを眺めていると睡魔が俺の意識を更に引っ張った。
ふわっと意識が遠のき、記憶の海に沈んでいく。
俺が彼女に初めて告白したのはいつだっただろうか……
確か中学3年の冬頃、クリスマスの前の金曜日だっけかな?
何の変哲もない帰り道。雰囲気も何も無い、ただの日常の中で、俺は彼女に告白をした。
彼女は少し驚いた様子だったが、すぐにこう答えた。
『昌也のことは1番好きだけど恋人とかは今はいいかな。』
人生初の失恋。胸がズキリと痛んだ。
その直後、彼女はとびきりの笑顔でこう言った。
『そう言えば、約束してたクリスマス、どうしよう?どこ行こっか?』
彼女の切り替えの速さに呆気にとられながら、俺は答えた。
『イルミネーションとか、どうかな?』
そこから、妙なループが日常になった。
俺はそれからもふとした瞬間に告白をしては振られて、そのたびに『次はどこに遊びに行く?』と予定を立てた。
コンビニで肉まんを半分こしたり、バレンタインに手作りチョコも交換り。
そうしているうちに、俺たちは同じ高校を受験し、2人とも合格をした。
そして今、こうして同じ教室にいる。
心地よい眠りに包まれている間にチャイムが鳴り、5限目の授業は終わった。
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