第6話 そんなママの客室割作戦。

 旅館に着いて、気づいたことがある。


 部屋割りはどうなってるんだ?

 も、も、もしかして同室?


 数日前まで殆ど話したこともなかったお隣さんのお姉さんといきなりお泊まりとか、刺激的すぎて不眠症になりそうですよ。


 いやでも、さすがにきっと。

 二間続きの部屋かな。



 フロントでスタッフさんに説明された。


 「今はシーズンでして、二間続きのお部屋が埋まってしまってまして。その代わり、サービスで露天風呂付きのお部屋にしますね。それと貸切の家族風呂がついてるプランですが、お時間は何時にしますか?」


 舞雪さんは、俺の方を見た。

 モジモジとしている。


 何を迷ってるんだろう。

 2人の都合のいい時間で、勝手に決めてくれていいのだが。


 すると、秋桜ちゃんが俺の袖を引っ張った。


 「あのね。ママが、おにーちゃんにも時間を聞いてって」


 それって、一緒に入るってことかな。


 「じゃあ、19時でお願いします……」


 なんだか、とんでもないことになってしまったぞ。俺が困っていると、秋桜ちゃんが手を上げた。


 「旅館のおじさん!! ママとパパは一緒のお布団で寝るから、お布団くっつけてください!!」


 おいおい。保育園児よ。


 大人の男女が一緒に寝ることの意味を分かってるのか?


 秋桜ちゃんは続ける。


 「あと、こすもす、夜に鼻水いっぱいでるから、ティッシュたくさんください!! 箱2つくらい」


 ……どうやら、わかってるみたいだ。しかも、ティッシュの用途に適当な理由をつけてくれている。


 この子、賢すぎる。

 おにーさん、空恐ろしいよ。



 部屋に案内されると、否が応でもテンションが上がってしまう。俺は秋桜ちゃんと部屋の中を探検した。すると、部屋の露天風呂はガラス張りになっていて、客室から丸見えだった。一応はブラインドカーテンがあるが、ちょっと覗けば見えてしまう。


 俺と秋桜ちゃんが騒いでいると、舞雪さんと目が合った。すると、嬉しそうに微笑んでいた。


 (あんな顔もするのか)


 ……いつもより、随分と機嫌が良さそうだ。


 その後は、浴衣に着替えて、お茶を出してもらって少し落ち着くと、すぐに夕食の時間になった。この旅館は、通常は料亭出しらしいが、小さな子がいるので、部屋出しにしてもらったらしい。


 中居さんが何人か入ってきて、テキパキと夕食の準備をしてくれる。数分で立派な食事室の雰囲気になった。


 秋桜ちゃんはお子様ランチ。

 大人組は懐石料理だった。


 すごく美味しそうだ。

 

 旅行券が当たったって言ってたけれど、本当にお金出さなくていいのかな。


 「あの。おれ、お金出します」


 俺がそういうと、舞雪さんは首を横に振った。


 「……要らない。一緒にいてくれれば……いい」


 口下手すぎて、行間を補完したらプロポーズのように聞こえるのだが……。


 秋桜ちゃんはハンバーグをもりもり食べていて可愛い。あんな娘がいたら、毎日楽しいだろうな。


 俺と舞雪さんは、ビールで乾杯した。


 食事が美味しくて、しかも、から。お酒がめっちゃ進む。気づけば、ビールは3杯目だった。


 舞雪さんの方は、ほっぺが真っ赤なんだが、大丈夫なのかな。何やらフラフラしているようにも見えるのだが。


 気づけば、舞雪さんは俺の横に座っていて、ピタッとくっついてくる。浴衣の胸元がはだけて、谷間がみえた。


 思ったより大きい。

 DかE、もしかするとFカップくらいかありそうだ。


 「一緒にきてくれてありがとう。すごく嬉しい」


 舞雪さんは俺に寄りかかると、嬉しそうにそう言った。どうやら、酔えばちゃんと話せる子らしい。


 「ねぇ。隼人くん。好きな子とかいる?」


 

 

 

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