第3話 クラス分け試験
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第3話:クラス分け試験
入学式は、ほんの数分で終わった。
神埼イオの簡潔な宣言と、無表情な教師たちの指示。
生徒たちは戸惑いながらも、
それぞれ指示された棟へと足を運び始める。
凛音のグループは「西棟 第七訓練場」と
書かれたエリアに集められた。
そこはまるで、地下アリーナのような空間だった。
灰色の壁、剥き出しの天井配線、むき出しの床。
案内役の教官は、黒いコートを羽織った女性だった。鋭い目つきと、冷たい声が印象的だ。
「これより、クラス分け試験を開始する。試験の結果でクラスが変わる。実力で自分の場所を勝ち取れ」
ざわめきが走る。
「ルールは簡単だ。この空間にいる他の新入生を“無力化”しろ。手段は問わない。能力の使用も自由。
時間内に最も多くの敵を倒した者から順に、
上位クラスへと配属される」
ざわ…という気配が足元から這い上がる。
だが誰も質問しない。あるいは、できない。
緊張感が、喉元を締め付けていた。
凛音は、何も言わずに周囲を見渡す。
同年代の少年少女たち。どの顔にも、
わずかな不安と、
同時に潜む本能的な“殺意”が見えた。
彼らの多くが、
すでに小さな構えを取り始めている。
「始め」
その一言と同時に、
訓練場がざわめきから“戦場”へと変わった。
誰かが火を放ち、誰かが空間を歪め、
誰かが宙を舞う。
衝撃波と悲鳴。能力が衝突し、
混沌が広がっていく。
凛音は一歩後ろへ退いた。動かず、
ただ静かに様子をうかがう。
誰が、何の能力を持っているのか――そう、
誰にもわからない。だが、彼女の目は冷静だった。
(無駄な戦いはしない。力を隠しつつ、確実に勝つ)
その時、背後から足音。
振り返ると、さっき凛音に声をかけた“赤いコート” の少年がいた。彼はにやりと笑い、短く告げた。
「よぉ。やっぱり、君はおもしろそうだ」
次の瞬間、彼の手から雷がほとばしった。攻撃は、
的確に、凛音を狙っている。
(……!)
反射的に身を引き、床を転がる。
雷撃が床を焼き、煙が立ち上る。
凛音は呼吸を整えながら、心の中でただひとつの言葉を反芻していた。
(負けられない。私は……絶対に、卒業する)
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