第30話



「その子は仲良いお友達ですか!?可愛い!!」

「この女の子はSNSしてませんか??」

「この子と友達になりたいです!!」

「ルナさん可愛い〜!」



なにこれ……信じられない……


私は目の前の光景にただただ戸惑っていた。


今まで誰かに“かわいい”なんて言われることはなかったし

自己肯定感なんて、底辺だった私にとって――


それはまるで違う世界の出来事のようだった。


「ルナ、自信持ったほうがいいよ。

俺だけが言っても信じないかもしれないけど、たくさんの人が言ってるこの言葉を一度くらい信じてみたらどう?」


「……うん、そうだね。素直にありがとうって感じるし信じてみる。」



私は――心から嬉しかった。


じゅんの言葉も。

みんなの言葉も。

全部があたたかくて、胸にじんわり染みてきた。


その日を境に私のSNSのフォロワー数は一気に増えていった。


コメントもメッセージも日を追うごとに増えていく。


誰も私を知らなかったはずの世界で、

“私”を知ってくれる人が少しずつ増えていく――


でも


そんな私の変化をかなこが黙って見ているわけがなかった。


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