第17話 暴かれた嘘
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翔の家に着くと彼は部屋の掃除をしていた。
──ガサガサと棚の中を整える音。
──鼻歌交じりののんきな声。
(かなこの物なんて出てきたらやばいもんね..)
私はふとそう思った。
この空間に漂う“裏切りの匂い”に、胸の奥がきゅっと締めつけられる。
翔はかなこがこの家に来ることなど想像もしていない。
それどころか軽やかにリズムを刻みながら掃除を続けていた。
(私はこんなに苦しんでるのに──
翔も、かなこも、何食わぬ顔で私を騙して笑ってる)
もう私の心は限界だった。
「翔、話があるんだけど…ちょっと座ってくれる?」
私の声に翔は手を止めることなく、気の抜けた返事を返してきた。
「今アルバムとか片付けてるからそのまま話して〜。ちゃんと聞いてるから!」
──アルバム。
その単語だけで頭の中にあのツーショットが浮かぶ。
私の知らない二人の顔。
私は息を整え、笑みを浮かべて告げた。
「それじゃあこのまま言うね──。
かなことの結婚はいつ?」
その言葉に翔の手が止まった。
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