文学寄り多し?な質問企画/発芽様

 発芽様の自主企画『文学寄り多し?な質問企画』に回答させていただきました。

https://kakuyomu.jp/user_events/822139839551541390



①書いてて楽しいのは、独白?人と人の間や空気感? ズレ? またはその他。


▶基本的に頭の中の映像(と音声)を文章化しているので、それらが引っかかりなくスムーズに書けているときは楽しいです。


 キャラクター先行のパートでは台詞のほうが、シチュエーション先行のパートでは地の文のほうが書きやすい気がします。



②作者の感情や価値観を入れてしまいがち?憑依させながら書いている?


▶身についた考え方や生き方というものは、意識するまでもなく文章に表れるものなので、取り立てて気にする必要はないと考えています。


 憑依はしません。作者と作中の人物は完全に別人格です。作者はあくまでも演出家兼脚本家として、状況設定とストーリーの調整に徹します。



③すぐに次の書きたいことが思いつく?


▶アイデアは常に浮かんでくるので、書き出す作業が追いつきません。遅筆だからというのが大きな理由かもしれませんが。逆にもっと書く力があったら、あっという間にアイデアが枯渇していると思います。



④自分の小説は、なにが武器/書けている/だと思う?


▶武器と言えるかはわかりませんが、常にマイノリティの視点を忘れないことでしょうか。たとえエンタメであってもです。自作の主人公たちは落伍者だったり、孤独や疎外感を抱えている人物が多い気がします。



⑤なぜ文学系の作風を書いていますか?(気づいたら? きっかけなど


▶エンタメ系の作品は「書きたくて書く」。文学系の作品(詩も含む)は「書かざるを得なくて書く」。切実さの違いです。



⑥ エンタメ小説と純文学の違いはなんでしょうか?(広義ではなく、あなたの言葉で


▶エンタメ小説は読者を楽しませることが優先、純文学は作者が伝えたいことを書くのが優先と考えます。この辺りは前の設問(⑤)とも相関します。



⑦ 「小説の書き方」的なものを読みますか?

参考になった書籍化されている本を教えてください。またあなたにとってどこが良かったかも知りたいです。(なお、本の引用など著作権にはお気をつけください)


▶小説の指南書・創作論は沢山読みましたが、究極的には以下に挙げる二冊に尽きると思います。


◆『日本語の作文技術』本多勝一

 小説に限らず、文章を書く人の必読書。本書の内容でとくに重要なのは、句読点の打ち方と、修飾語を重ねる順番についてです。わずかなルールを意識するだけで、文章の伝わり方が格段に向上するのは間違いありません。


◆『書く人はここで躓く! 作家が明かす小説の「作り方」』宮原昭夫

 小説というものの構造に鋭く迫る名著。伏線の本質的な意味、会話文の果たす役割、読者との向き合い方までが平易な文体でわかりやすく解説されています。読後には書き手としては勿論、読み手としての意識も大きく変わるはずです。


 なお、両著で示されているのは「従うべき鉄則」ではなく「迷わないための手引き」とお考えください。守・破・離の「守」です。



⑧書く上で自分の課題や、気をつけていることはありますか?


▶山(盛り上がり)、オチ(カタルシス)、引き(次回への導入)。その他にも気をつけるべきことを、自戒として下記の創作論に書き残しています。


★『書きたがり作家の文字数削減術+α』(連載中)

https://kakuyomu.jp/works/16818093082219168900



⑨読む側に回る時、どんなものを読みたい?


▶興味を惹くテーマ・作風であるのは勿論ですが、作者が「これを書きたい!」という衝動に突き動かされて書いたのがわかる作品。お題や規定に沿って書かれたものは、何となく「お仕事感」があって食指が動きづらいです。



⑩最後に、これ読んで!!という自作をアピールしてください


▶基本的にコメディやエンタメばかりの作者なのですが、本企画の趣旨に従うなら、文学寄りの作品を出すのが筋かもしれません。


★『二人の雛祭り』(一話完結/900文字)

https://kakuyomu.jp/works/16818622170355706019

 双子兄妹の別離と再会、そして再生の物語です。


★『学び舎に知る』(全3話/約6000文字)

https://kakuyomu.jp/works/16818093078079625584

 孤独な女が昭和~平成の暗い青春を問わず語りしています。


 他には短編集の中でもたまに文学っぽいものを書いています。



 以上です。発芽様の企画への参加は、今回で二度目となります。開催いただきありがとうございました。

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