手放す恋

第23話いつかこの想いも忘れる

　もう何日もまともに奏斗君と話をしていない。この気持ちとどう向き合うか？どうしたら良いのか解らない。奏斗君の事が好きなのはハッキリしている。だから尚更田代さんの事を考えると、姿が見えると胸が苦しくなる。田代さんさえ居なければ…。誰かを憎むのは嫌だ。この思いから解放されたい。

　人の気持ちがよくわかる。まるで気持ちが見えるようだ。人の空気が見えるって言えばよいのかな？小さい頃はただ勘が当たりやすいってだけだと思っていたがどうやらそうでは無いのかもしれない。小さな色んな事が繋がって私の中で答えがでる。

　今回の奏斗君の事も小さな色んな事が繋がって田代さんに行きついた。私しかきっと解らない事だ。

　私は新月に願う。

〝どうか2人が別れますように〟

〝早く別れますように〟

〝早く別れて〟

　何度もノートに書いて声に出して願った。

私は運が良い。だから、きっと私の願いは叶うだろう。今はもう奏斗君に執着しているだけなのかもしれない、好きな人の幸せを願えない。これは愛とは言えないのかもしれない。楽しかった恋愛期間も誰にも話せ無くて…失恋の悲しみも話せなくて…全部無かった事には出来ない。

　私はこの経験を感情を飲み込んで笑顔でキレイで前向きな人になりたい。だって、奏斗君の事が好きだし、愛してもらったあの日々は宝物だし幸せだったから。

　今でも思い出すと胸がキューとなって幸せであたたかくなる。