できるようでできないこと

月影いる

できるようで

この世界にはできるようでできないことが多すぎる。

 例えば、土手などの草の上で寝そべってゆっくり空を見たい。そして静かに眠りたい。

これは土手の衛生面や寝た時のリスクが大きくできないだろう。人の目があるので変な奴だと噂されかねないし、寝てしまったら何かを盗まれてしまうかもしれない。

 あとは、裸足で外を歩きたい。

これは道路には沢山の危険物が落ちているので難しいだろう。ガラスの破片や生き物の糞など。それに都合よく草原に囲まれているなんてこの時代なかなかない。

それに靴を履いていないことに対する周囲の目が痛い。怖くてできない。


 一人、ひらけた草原のようなところで歌を思いっきり歌ってみたい。

これも結局人の目が出てきてしまうから難しい。そもそも都合よくそんなひらけた草原のようなところなんてないし立ち入り自体可能かもわからない。単純に周囲の人の迷惑になってしまう。

いっそのこと、どこかのお姫様のように森の中とか街の中で歌って駆け回りながら生活してみたい、なんてことを思ってしまう。



ふと、子供の頃を思い出す。

当たり前のように裸足で生活していた日々。(場所によるが)

土手で段ボールを敷いて何往復も滑っていた日々。

公園でずっとブランコを漕いでいた日々。

花を摘んでは花冠を作ってプレゼントしていた日々。諸々。


あの頃はきっとそれが当たり前だった。

でも、大人になるにつれてその当たり前は消えてしまった。

むしろ、今やるとやばいやつがいる。と噂されかねないレベルで。

大人になるにつれて自由になると思っていたのに、いつからこんなに不自由になったのかなあ。

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できるようでできないこと 月影いる @iru-02

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