第3話 次なる歪み

砂漠を越え、


ノアはまた歩いていた。




背後には、歪みを緩めた町。


もはや、戻る理由はない。




遠く、揺れる陽炎。


空気は乾き、砂の匂いが鼻をかすめる。




前方に、かすかな灯りが見えた。




低い壁に囲まれた、小さな村だった。




空気が重い。


人影はまばらだが、


誰も言葉を交わしていない。




沈黙だけが、村を支配している。




立ち止まったノアの右手で、


キューブがかすかに震えた。




また、何かがある。




ノアは、何も言わず、


静かに歩を進めた。




足もとで、さらさらと砂が流れ、


乾いた音を立てた。

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