第8話 寝床

「ふああぁ…」

あれから結局、1時間ほど走らせていたらちょっとした柵と門がある空き地?的な所を見つけ、現在テントを張っている所である。

「ペグ打ちめんどくさ〜」

今夜しか使わないのにペグ打つんだも〜ん。めんどくさ〜い。

「…いや?普通のキャンプとかでもそうだったのかな?」

愚痴をグチグチ言いながら、やっとこさテントが張り終わった。

「よっこいしょ…あ゙〜…!あたしゃもうおばちゃんだよ〜」

寝袋を下ろしてそんな冗談を言う。

「さっ、寝る準備〜」

テントの中に寝袋を投げ入れて、ランプと気持ちだけのサバイバルナイフを持ってテントの入り口に腰を下ろす。

「やっぱりブーツは面倒くさいなぁ」

横にジッパーが付いてるやつもあるらしいけど、編み上げがお気に入りだしね。今更変えるわけにもいけないしな。

『カチャ』

『ドサッ』

「よっこいしょ」

ポーチをジャラジャラとつけた腰ベルトのバックルを外してジャケットを脱ぐ。

「ひゃ〜…疲れた〜」

寝袋をテントの中に広げて、その上に寝転がる。

「ふあぁ…眠い…」

もう閉じそうな目で腕時計を見ると、あと少しで日を跨いでしまう時間だった。

「こりゃあ昼前まで寝ちゃうかもなぁ…」

ぽすっと、胸に腕時計を付けている右手を下ろし、目を閉じる。

「寒いな…」

目は閉じたまま左手で、開いた寝袋の端を持って体を包める。

「んう…あったかい…」

流石寝袋、温かい。

「ふあぁ…」

温かくなった体に目を瞑ってなる暗さ、さらに外から聞こえる葉擦れの音…落ち着いて…とろけて…

「すう…すう…」

いつの間にか、意識は明るい闇に落ちて、冬の風の中でぐっすりと眠ってしまった。

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