第20話
ギルドに帰るとニナさんとブレインネルさんの疲労が一気に出たようでうとうとし始めた。
2人には休んで貰った。
その後、フレイさんをギルドの宿屋にチェックインしてもらいお金を払った。
そして宿屋のベッドに寝かせた。
「今回は失敗しました」
「ブレインネルの為にやってくれたんでしょ? 気にしていないわ」
「レッドテンタクルは良かったのですが、ファイアボールの訓練、そして解体の際に、私はフレイさんに興奮していました。それどころではないのが分かっていながらです」
「……いいわ、体液を浴びていたもの」
「いえ、体液など効きはしません。私はいつも発情しています。そして最後川に飛び込んだあの時もおかしかった。私は回復魔法を使えます。ですがどうしても自分でフレイさんを抱きしめたくて仕方がない衝動に駆られました。そして助ける言い訳を作るように抱きしめて川に飛びこんでいました」
「……気にしないで」
「あの状況で興奮してしまい、フレイさんがもし同意していればブレインネルさんとニナさんが居ても、いけない事をしてしまそうでした。申し訳ありませんでした」
「いけない、こと?」
「はい、フレイさんを押し倒して、女にしてしまいそうになっていました。それでは失礼します」
シンシが部屋を出て行った。
【フレイ視点】
ファイアボールの訓練をしていたあの時、私は何度もシンシの言葉を止めた。
シンシの言葉は子宮に響くように低い、あの時に、それが分かってしまった。
そして背中からシンシのアレが大きくなって当たっているのを感じていた。
あの時、私もおかしくなっていた。
もっとシンシが強引に来ていたら……
私はシンシと1つになっていただろう。
そして解体をしているあの時、体液を浴びているシンシと目が合って分かった。
シンシが興奮を隠しきれていない。
体液を浴びる私を見て興奮している。
その姿に私も興奮していた。
そして私がレッドテンタクルを捻ってコアが弾けて体液を浴びたあの時、シンシは私を抱きしめてすぐに川に飛び込んでくれた。
シンシのアレがあの時のように大きくなっていた。
あの時の私は更に興奮していた。
体液の媚薬効果ではない体の内側から熱くなるナニかを感じていた。
私もシンシと同じ。
ただ想いを正直に言葉にしていないだけ。
私は、シンシとそこまで変わらない。
私は立ち上がって部屋の内鍵をかけた。
そしてベッドに戻り自分の手で自分を慰める。
◇
【次の日、シンシ視点】
白い雪玉の3人が揃うとギルドを出た。
「フレイさん、少し、顔色が良くなりましたね」
「え、ええ、そ、そう、ね」
フレイさんの頬を触ろうとすると逃げられた。
昨日より距離を感じる。
「や、やめて」
「残念です。今から行くのは私の知人である錬金術師の所です。と言っても同じ学園の同じ学年だった、程度の知り合いです」
「……錬金術師ねえ」
「色々なマジックアイテムがあります。薬品も揃っています。ブレインネルさんは見ているだけで面白いと思いますよ」
「う~ん、そうだね」
街を抜けるとぽつんと家があった。
「あそこです」
ドアのノックする。
「シンシです。クラフ、レッドテンタクルの体液袋を持ってきました」
「本当か!」
まるで叩きつけるようにドアが開けられた。
クラフは私と同じ20才。
地味な耐火エプロンとハンマーを持っており、筋肉質で頭にバンダナを巻いている。
目つきが鋭い。
「あ」
「あ」
クラフとブレインネルさんが驚いた顔をした。
「知り合いですか?」
「いや、ただ、俺がブレインネルに声をかけて、速攻振られた」
「気まずいですか?」
「いや、商売は別だ。売ってくれ」
「ブレインネルさんはどうですか?」
「大丈夫」
「分かりました」
収納魔法で素材を出した。
「おお、いいな、だが、払える金の持ち合わせが足りない」
「私が立て替えるので後で渡してください」
「悪い、必ず払う、色を付けてな」
私は3人に報酬を支払った。
「す、すごい、こんなに?」
「しばらく何もしなくても生きていけるわ」
「嬉しいです」
「なんだか、シンシにお金を貰っている気分になるわ」
「立て替えているだけです。気にせず行きましょう」
「悪いなシンシ、代わりと言っては何だが、飯でも食っていくか? もしみんなも、良ければ食べてくれ」
「お言葉に甘えます。みなさんはどうしますか?」
「そうね、ご馳走になるわ」
「私も食べたいです」
「……私も、一緒していいの?」
ブレインネルさんが気を使う。
「むしろすまなかった。気にせず食べていってくれ」
「それじゃあ、うん」
「私はお酒でも買ってきますか」
「待てシンシ、俺は錬金術師だ、酒は自分で作るもんだ」
「では他に何か手伝う事はありますか?」
「無いな、むしろ1人で作りたい」
クラフはこだわりが強い。
あまり手を出さない方が良いだろう。
「では、アイテムを見てもいいですか?」
「好きに見てくれ、買ってくれるともっと助かる」
「分かりました。もし興味がある方がいれば料理が出来るまでアイテムを見ましょう。クラフは鍛冶も、薬品も、マジックアイテムも何でも作れます。特に薬品のレベルがかなり高いですよ」
「見させてもらおかな。興味あるし」
「ええ」
「これは?」
ブレインネルさんはアイテムにかなり興味があるようだ。
「これは少しだけ防御力をアップさせるイヤリングです」
「きれいだね。こっちは?」
「これは、魔力を微量にアップさせる効果があります」
「皆デザインがいいね」
「あの鋭い顔に似合わず仕事は繊細です」
ブレインネルさんが興味津々に色々と聞いてくる。
ニナさんはアクセサリーを付けてフレイさんに似合うかどうか聞いてポーズをとっていた。
「フレイさん、欲しい物はありませんか?」
「今は、魔法の訓練を重視したいわ。それに、貰うと何かを要求されそうで怖いわ」
「要求はしなくても『今日もそのイヤリングが霞むほど美しいですね』と話のネタにするくらいです」
「やめておくわ」
「遠慮なさらずに私に言って下さい」
「いーやーよ」
「そうですか、では食後にセ○○スでもどうですか?」
「や、やめなさいよ……あんた本当にハートが強いわね」
「私は繊細ですよ」
「嘘よ! 絶対に嘘だわ!」
「毎日フレイさんの事を思うと、そのすべてを脱ぎ去った生れたままの姿を想像するともう、私の繊細な心はどうにかなってしまいそうです。恋する乙女、その心と、いえ、それ以上に私は繊細です」
「まずはその自己評価を直しましょう」
「酒と温めたパンならすぐに出せる、どうする?」
「いただきます」
こうして5人で酒を飲んで料理を楽しんだ。
その後ニナさんが帰る事になり私とフレイさんも一緒に帰る事にした。
ブレインネルさんとクラフはマジックアイテムの話で盛り上がっていた。
私達3人は2人に声をかけて家を出た。
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