第28話 サマの気持ちは?
薬学の町と呼ばれるメディルに入り初めのうちは3人で行動していたがサマさんの顔が思ったより広く、案の定町の人からいろいろと言われるのに耐えきれなくなったのかテオさんは私とサマさんをおいてどこかへ行ってしまった。
私はと言うとテオさんがいなくなった後もサマさんと行動を共にしていたところサマさんの子供と勘違いされていろいろなものを貰っていた。
「なんか申し訳ないです…。これちゃんと買ったらどれだけかかるのか分かりません」
「別にいいだろ、俺の子供じゃないってわかっても貰ってけって言ってたしな。貰えるもんは貰っといて損はないぞ」
「確かにそうだとは思うんですけど…」
貰ったものは大体が薬の類なのだが、中にはいつ使ったらいいのか分からないものや、そもそも今私の体で使ってもいいのか分からないものまであった。そういったものは後で宿に行った時に調べてくれるとのこと。
「あと寄りたいところはどこになるんですか?」
「次で最後だな。俺がこの町で薬の調合の事を学んでいた時に一番世話になった人がいるんだ。折角町まで来たなら顔を出さないと悪いだろ」
「分かりました。テオさんの事も心配ですし早く向かいましょう」
テオさんとは町の入り口近くにあった宿屋で合流しようと伝えているため迷子になって合流出来ないなんてことは無いだろう。この町自体はそこまで広くなさそうだし。
「にしてもそんなびっくりする事かね、見知った人が異性をつれてたら」
「びっくりはしますよ。話を聞いてる感じサマさん結構この町で頑張ってたみたいじゃないですか。それに妹がいる事も言ってなかったんですよね?」
「いう必要が無かったからな。機会もなかったし」
「それならなおさらですよ。なんだかんだ言って人の恋愛話は好きな人多いですから」
学生だった頃も人の恋愛事情に茶化しては一時の話のネタで盛り上がる事はよくあったことだった。それが成就しようがしまいがそれはそれで話のネタになっていたのを覚えている。
「そんなもんなのかね。俺は…大して興味はないが。人ののろけ話なんて聞いてても面白くは…いや嘘だな、正直あんま聞いたことはねぇな。人の恋愛事情に首を突っ込めるほど話さないからな」
「そうなんですか?じゃあ…もしテオさんに好きな人がいたらどうします…?」
「………なんでそんなこと聞くんだよ」
すごい間があいたなぁ…。正直な所私も人の恋愛事情の話は好きな方で、自分に好きな人が出来ない分その人には少しでも頑張って欲しいとは思っていた。それに悩んだり困ったりしながら考えている姿を見るのも好きだった。…そういう人たちをある意味尊敬していた。
「もしもの話ですよ。そこまで深く考える必要は無いんですよ?」
「どうだろうな、そん時になって見ねぇと分からないが…多分気にはなると思うな。…おいアリアまさかとは思うがお前」
「やっぱりサマさんはテオさんの事が気になるんですね~」
テオさんがサマさんの事を気にしていることに気づいたのはついさっきなのだが、サマさんに関しては一緒に旅をすることになって少しした時からもしかしたらとは思っていた。
「…いつからだ?」
「サマさんは結構わかりやすいほうだなぁって思いましたね。初めは久しぶりに会ったからだと思ってたんですけど、サマさんはテオさんと話すとき楽しそうにしてましたから。それに私よりもテオさんの事を信用とか心配とかしてたみたいですし」
「結構前から気づいてたのか?お前は本当に観察力が高いな。まぁそのなんだ?血はつながってないからな…やろうと思えば結婚くらいなら出来る世界だからな…ここは」
観察力が高いってよりは本当に分かりやすかっただけなんだけども。というか結構露骨だったと思うんだけど、それすら気づいていないのも好きだからだったりするのかなぁ?
「ふふ、今回の冒険でもっと仲良くなれるといいですね」
「お前なぁ…全くそこら辺のガキと何ら変わらないじゃねぇか。ほれついたぞ、ここだ」
何を隠そう見た目年齢8歳くらいですからね!そこら辺にいるガキと変わらないのは今に始まったことではないんです!なんてことを考えているとサマさんの最後の目的地に着いたようで、サマさんは薬屋の前で立ち止まった。
「いらっしゃい。なんだサマじゃねぇか。なんだ、嫁さんと一緒じゃないのかなんて冗談は聞き飽きただろうな。元気してたか?」
「腐るほど聞いたからな。おかげさまで元気ではあるよ。可愛い仲間も出来たしな」
「アリアです。王都までですけどサマさんと一緒に冒険させてもらっています」
「はっは!礼儀正しいお嬢さんじゃないか!どっかの誰かとは大違いだな!俺はジェイドだ、柄は悪いかも知れないがこれでも薬師だ」
サマさんも初めて会う人でも敬語を使っていなかったり、目上の人であっても敬語で話してはこなかったそうで、ここまででもジェイドさんと同じことを言ってきた人は沢山いた。
「それも何回も言われたよ。ジェイドも元気そうだな。っと世間話もいいが今日はちゃんと客として来てんだった。
「まーた珍しいもんを切らしやがってなぁ。まってろ出せる量を見繕ってやるから」
「静月草と高源の華ってどういうものなんですか?」
「両方とも薬に使う材料なんだが、静月草は鎮痛の作用があって、高源の華は魔力を秘めてる花で薬の材料にすると飲んだ時に魔力を回復できる。つまり魔力ポーションの材料だな」
静月草はともかくとして高源の華は魔力ポーションの材料なのかぁ。魔力酔いが起きるって知った時から買いたかったものの普通の回復に使うポーションに比べ3倍くらい値段が違うせいで手が出せなかったものだった。ジェイドさんの言いぐさからしてかなり貴重なものなのだろうから値段が高かったのも頷ける。
「それ以外にも作用はあるがな。ほれ、こんだけありゃ直ぐには切らさねぇだろ。値段はそうだな、750ミルだな」
「おぉ、結構出してくれるんだな。750ミルか…この量なら安い方か乗った」
「えぇ…確かにかなりの量はあると思いますけど安いんですか…」
ぱっと見で静月草は100個、高源の華は60個くらいあるだろうか?かなりの量ではあると思うけどこれで安いなら普通に買おうとしたらどれだけの値段がかかるんだろうか…。
「この量だと1200ミルはしてもおかしくは無い。顔見知りだからの値段だな」
「1200ミルって…やっぱり薬作るのも大変なんですね」
「まぁな、簡単ではないな。材料も買えない場合は自分で取りに行くしかないし、売れ方によってはマイナスになることだってある。まぁ商売なんて大抵そんなもんだろ」
ごもっともすぎる。簡単に稼ぎを出せるならみんなやるだろうし、ましてや薬師として薬を売り出すってことはそれ相応の信頼度がないとやっていけないのだろう。
「ちょうどだな、持ってけ。それで一緒に旅してるやつとはどうなんだ?」
「…どうもこうもないよ。昔みたいにいい争いながら歩くのは楽しいとは思うけどな」
「ほう?サマ、いい事を教えてやる。俺にも嫁がいるからな少しアドバイスしてやろう。そう言うやつは大事にしてやれ。話はそっからだ」
サマさんは珍しく言葉に詰まったようでなにかいい返そうとしてはやめを繰り返していた。やっぱりこの人意外と顔に出やすい性格なんだろうなぁ。
「図星か?お前は昔からわかりやすいやつだったからな。そのお前と一緒にいるやつと話している所は見てないが仲がいいのはわかる。あとはお前次第だな」
「はいはい、わーってるよ。じゃあな、また来るわ」
「え、ちょっと…サマさん!?いっちゃった」
一番お世話になった人に見透かされたのが恥ずかしかったのか、サマさんは言いたいことだけ言ってすごい速さでお店から出て行ってしまった。
「まだまだサマもガキだな。ところで嬢ちゃんよ、お前さんの鞄もしかして普通の鞄なのか?」
「これですか?はいそうですね、私は特段沢山物を持ったりしませんから魔力鞄は持ってないんです」
魔力鞄はその名通り魔力を帯びている鞄で、中に物を入れるとそのものが小さくなり相対的にたくさんの物を入れることのできる鞄の事だ。お金を入れている袋の大きい版みたいなものだ。
「そりゃよくねぇな。あいつといつまでも一緒にいる訳じゃないんだろ?ならちゃんとした鞄くらい持ってないと困るだろ。そんな訳でほれ俺の使い古しだが使ってくれ」
「そんな!?だって魔力鞄って高い物じゃないですか!?しかも結構綺麗に使ってるものなのに…」
使い古しという割にはほつれている所や壊れそうな場所は無くかなり綺麗に使われていることが分かる。しかも魔力鞄は大きさに関わらず結構な金額がかかるはずなのにそんなポンと渡せるものではないと思うんだけれども…。
「はっはっは!ほんとにお前さんはいい子だな!別に構わねぇよ、実はこれより大きいサイズの鞄を買ってな。嫁さんも自分のを持ってるからいらないらしくてな、だから貰ってくれや」
「……わかりました。貰える物はですもんね、大切に使います!」
「そうだ貰える物は貰っておけ、だ。あぁそれとサマの事をよろしくな。お前さんもいい人が見つかると言いな」
「私にはまだはやいですよ!?」
ジェイドさんはまた大きな声で笑いながら私を見送ってくれた。お店を出てサマさんを探してみたがもう見えなくなっていたため合流場所である宿屋に向かうことにした。
『なんかあれだね、アリアちゃんその体をかなり有効活用してない?』
『そんなつもりは無いんですけどね。ここまでとは思っていませんでしたけど』
物をいっぱい貰えたり、いろんなことを教えて貰えたりと何故か優しくしてもらえることが多い。特段何かをねだったりしている訳ではないはずなのだが、話しているといろんなものを貰えてしまう。
『情報とか集まってくるのはいい事だけどね、あんまり可愛さを振りまくのもよくないぞ~』
『それに関しては私悪くなくないですか…?』
可愛さを振りまいているつもりもないんですけど。でも友達の妹とかその友達とかは可愛く見えることってあったからそういうものなのかな?だとしてもここまでの甘やかされると少しむずむずする。
『アリアちゃんは可愛さもあるけど基本的な会話が敬語だから印象がいいんだろうね。謎のあどけなさもあるし』
『謎のあどけなさって何ですか…初めて聞いたんですけど…』
レーテさんの謎理論に耳を傾けながら宿屋へ向かって歩いていく。そろそろふかふかのベットでゆっくりしたくなってきた。
『アリアちゃんもいい人見つけなよ~、アリアちゃんならきっといいお嫁さんになれると思うし~』
『だから私にはまだ早いですっ!』
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