第3話 『3P』って!!
「じゃあ聞くけど……その方って紺のワンピースをお召しだった?」
私がコクコク頷くと「チーフ! 小牧専務からお電話です」と声が掛かり、酒匂チーフは受話器を取る。
「ええ、行かせました……ハイ! 我が制作部のエースの谷繫さんです。 お昼ですか? 私も谷繫もまだですが…… そうですね、この状況で社長とご一緒するのは谷繁にはちょっと辛いかも……ふふ、そうなんです、カノジョも社長に憧れて入社したクチですから……」
酒匂チーフは壁時計と私をチラッと一瞥した。
「……では10分前にロビーで」
電話を切ると酒匂チーフは私にちょっと悪戯っぽい笑顔を向けた。
「小牧女史が、あなたと私をお食事にお誘いしたいって! さっきあなたを驚かせたお詫びだそうよ」
まさかとは思ったけど!! あの人が“小牧女史”だったなんて!! でも!!
「若くてびっくりしたでしょ?!」
私の心の声を聞いていたかのように酒匂チーフは答えてくれる。
「専務は美魔女で……社長のパートナーなの」
「……でも奥様ではないですよね?!」
「ええ! だから立場としては“愛人”という事になるのでしょうけど……社長の奥様と専務も恋仲なのよね」
「えええええええええ!!!!!!!」
「う~ん……谷繫さんの夢壊しちゃって申し訳ないのだけど……あの三人が三人とも愛人同士で……一応、専務は独身って事になるのだけど……年季の入った
私、クラクラめまいがして、椅子にへたり込んでしまった。
私の好きなお二人の……知らなかった一面を見せられて……
「あらあら谷繫さんには刺激が強すぎたかしら……でも“3P”って言葉は知っているのよね?」
チーフ!! その可愛いお顔とお声で『3P』って連呼しないで下さい!!
確かに私は何もかも“未経験”ですけど……
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