第17話 少女の背負った重み

三津原さんと小鞠ちゃんと別れてからの帰り道。


(……あっ、しまった。米、切らしてたんだった)


夕暮れの名残を背に、俺は慌てて近所のスーパーへ足を向けた。


三津原さんと会って話したことに満足して、すっかり忘れていた。

このままじゃ、明日の朝ごはんが飢えの儀式になるところだった。


エコバッグを片手に、米、卵、納豆、そして冷凍餃子を買った帰り道の公園で人影を見つける。


その人影は綺麗な白亜麻の髪をしていて直ぐに三津原さんだと気づいた。


(今日は偶然が続くな……

 でも声をかけていいものかさすがにこんなに偶然が重なるとストーカーと間違えられそうな……)


そんな事を考えていると急に三津原さんが急に倒れ込んだ


「三津原さん!」


荷物を放り投げて急いで駆け寄る


三津原さんは冷や汗を書きながら真っ青になっており「置いていかないで……」と小さな声が漏れ出ていた。


「しっかりして!……詩織さん!」

 必死に名前を呼ぶと

「……朝……宮……くん?」

 と微かにだが返事を返してくれる


「……よかった、無事で……」

ひとまず安堵した

 

「……どうして……」


「ちょうど通りかかったんだ。そしたら急に倒れ込むから……心配したよ」


彼女はゆっくりと目を開け、まだ不安定な息を吐きながら、俺の顔を見つめる。


「……朝宮君って、やっぱり……優しいですね」


「いや、誰でもそうするって。……とりあえずさ、立てる?」


「……少し、ふらふらします」


「じゃあ──背中、貸すよ。送ってく。


「……ありがとう、ございます。……じゃあ……失礼します」


少し戸惑いながらも、彼女は俺の背中に身体を預けてきた。


詩織さんの重みは想像よりも軽かった。

細く今にも居なくなってしまいそうな軽さ


(彼女は一体何を背負っているんだろう)


そんなことを思いながら、俺は静かに歩き出した。


静かな夜道。背中に感じる温もりと、小さな鼓動。

そのすべてを、ひとつひとつ、大事に噛みしめるように。

 

 

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