入学

五十嵐いがらし学園長は車を寮の近くにある駐車場に運転して、駐車して、エンジンを切る


 「そう警戒しなくていい。あなたの身柄を誰かに渡すつもりはない。ここは近所の公共駐車場、学校の所有地じゃなく、この自治体の所有地なんだ。ここからの話は私たちだけの話」


 車のバックミラーを見て、俺と来瞳くるみに話してくれる。


 「学園長、すみませんが、本題に入る前に、聞きたいことがあります」


 「どうぞ、清水さん」


 「どうやって、私がひとみを隠していることを知ることになりましたか」


 「それは、大げさなものではなかった。君が深夜に、人をおんぶしている姿を偶然に見ただけ。それ以来、部屋以外の場所にあまり現れなくなって、食堂でも見かけなくなった。部屋の中にもう一人がいるとうすうす気づいた。」


 「どうして、ばらさないんですか」


 「本当の害を及ぼす動機と様子がないから、そんなものする必要ないと思っていた」


 「そ、そうなのですか。今まで、ばらさなくて、ありがとうございます」

 恩義を借りた来瞳くるみは学園長にお礼を言った。


 「大したことではないと思うけど、じゃあ、本題に入ろうか。まずは事情を説明する。清水さん、学校のランキングのことを知っているか」


 「はい、魔石装備使いの特別学校の間に優秀さのランキングです」


 「そう、その審査は校内の生徒を何人選んで、色々な項目で評価する。そして、ひとみさん、あなたは選ばれた」


 「え、ま、待ってください。私は魔石装備使い学校の学生じゃないよ。人違いでしょうか」

 俺が生徒として選ばれたって、なんか分かりづらいな。


 「ええ、確かに、あなたはまだ種川の生徒ではないが、審査はそう思わないんだ。それは魔石装備使いの女の子が政府に認識される特別学校の管轄下で活躍するので、あなたが変身できる限り、生徒として認識される。正確に言うと、審査は人違いした」


 「でも、自分は今日までに変身したことがない」

 

 「魔石装備使いの戦闘は厳しく取り締まられるので、管理機関が国中で魔石装備の発動を監視している。あなたはおそらく、異変機械を探知するためのカメラに撮影されて、記録されたかもしれない。それに清水さんはちゃんと教えなかったの、そのヘアピンのこと」


 「ヘアピンは起動機!!でも、なぜ、普通な装置じゃないの」


 「魔石装備のコア機能はシールド装置と同じくシールの展開機能を持つ。装備の特別な点は一部の女性が全身に纏う戦闘姿に変わり、特有の力を発揮する機能も使えること。だから、そういうものは魔石装備使いを育つ種川女学園に手に入りやすいんだ。そうではないか、清水さん」


 「そうよ。私が用意したものなのよ。全ては君を守るためだよ」

 来瞳くるみはこっちに向けずに話した。まあ、装備のせいで、今この状況に至ったことを自分に責めているのだろう。こんな時に、元気づける方法はこれだ。


 俺は彼女の背後から抱きしめて、頭を彼女の肩に乗せて、耳に囁く。


 「うん、ありがとう、流石私の唯一の親友」


 「バカ」


 「ちょっと知りたいが、もしこのままランキングのことを欠席したら、どうなるでしょうか」


 「そうだったら、あなたは生徒ではないことを知られて、管理機関に調査される。最悪危険魔石装備使いとして認識され、監禁されるかもしれない。それを避けたいなら、種川の生徒になって、適当にして、すべてが終わったら、今までの生活に戻る。それに砲撃系の装備が種川にはなかなか珍しいことから、今後も役に立てると思う。これも私のお願いだ」


 学園長は頭を下げている。まあ、これは悪の組織に入るより何倍もましに決まっているだろう。それに、調査されたら、組織が俺の生存をバレる可能性が高い。今は学生になって、誤魔化せる得策ではないか。それでも、俺にとっては来瞳くるみの役に立ちたい、唯一の親友とい一緒にいたい。

 

 「分かった、学生になります」


 「うん、よい判断。それで、行こうか」


 「今すぐですか」

 そう言ったら、車が動き出して、大きな校舎に向かっている。

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 しばらくして


 保健室で身長を測ってもらっている。


 「身長は152cm」

 

 来瞳くるみはタブレットを弄っている。新入生生徒に情報を取ることが入学手順なんだって。


 「そう言えば、この後、どんな項目で測られるかな」


 「ランキングのこと、私も詳しく知らないんだね。入学以来一度選ばれたことはないからね」


 「ビームを撃てるなにの」


 「私の装備の特有機能はステータス解除で、通常以外のステータスすべてを解除することができる。例えば、今日の竜のビームはこっちの攻撃に貯めたチャージを解除され、能力が大幅に下がる。完全に無効化されたわけではない。だから、私の枠はサポート系なんだ。それに、この装備はビーム以外、触ることも発揮できる」


 「そうなんだか」


 「ほら、これは君の制服。着替えて」

 来瞳くるみと同じデザインのセーラー制服が机に置かれた。俺はカーテンの中で早速着替えを始める。


 「このカバンには体操服や生活用品も入っている。教わったように、適当に使って」


 「あ、はい」

 来瞳くるみの着替えを手伝ったことがあるから、スカートや上着を上手く着て、最後に三角タイを結んで、できた。カーテンの中から出て、来瞳くるみの顔がちょっと笑っているようだ。


コンコン


 「はい、どうぞ、あ、学園長」

 来瞳くるみはノックに応じて、学園長は中に入った。


 「ひとみの携帯を更新した」

 携帯をもらって、携帯を弄って、更新されたものを見る。なんか、携帯番号や異変機械に関するものが追加された。


 「残りは苗字のこと」

 そうだね、今までも苗字を使っていないね


 「じゃあ、清水をしよう」


 「えっ」

 急に赤面になった来瞳くるみは驚いた顔をする。


 「清水だね、ちょっと動かないで」

 学園長はなにかのデバイスを弄って、俺に向けて、写真を撮った。そのデバイスを手元に持っているものにかけて、小さい本を渡してくれた。


 「これはあなたの生徒手帳と身分証。そして、ようこそ、種川女学園へ」


 生徒手帳を握って、自分は魔法少女の一員になるとは思わなかった。まるで、アニメを見ているようだ。


 「そして、ひとみさんは来瞳くるみさんのことを先輩と呼ぶ方がいいと思う。彼女は中等部三年生で、一つ上の先輩だから。これで、入学の手続きは終わる。もう一人の選ばれた生徒が今玄関に待っていて、今日から二人は同じ部屋で暮らしてもらうことになった」


 「えっ」


 「こっちは審査の考え方がよくわからないんだ。まだ書類の整理があるので、お先に失礼する」

 学園長は保健室を出て、残りは俺と熟考している来瞳くるみ


 「はああ、まあ、友達作りはいいことだね。行くよ」

 俺はカバンを持ちながら、ひとみをついて行って、廊下を歩き始める。


 玄関に至って、見覚えがある一緒に現場にいた女の子がいる。制服姿の彼女は穏やかそうで、体格がこっちと同じそうな女の子。髪型はハーフアップで、ちょっとポニーテールみたいで、束ねた細いリボンも見える。


 「あなたは」


 「なるほど、転校生なんですか、ここから一緒に暮らすから、呼び捨てでいい。私の名前は二階堂ひなた、よろしく」

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