第2話

 ヤキを倒し、これからは平和な学校生活を──


 送れなかった。何故か僕は部外者になっていた。いつも通り登校し、校門を潜ろうとしたら何者かを聞かれた。

 期待した生活と、日が照りだした帰り道のギャップに背中を刺された気分だ。


「仕方ないよ。君はブレイカー英雄になったんだからさ。」


「答えになってねぇよ…。」


 家に帰る……家?まぁいいか。

 近くにあった廃墟ビルへ向かった。


「そこの段ボールでも敷いておこうか。」


 妖精は当然といった口調で言う。まぁそうかな。


「デザイナーが現れた。ゲンポー、準備して!」


 段ボールを敷いていたら、妖精が突然宣告するデザイナーの出現。準備もなにも特になにか持っているわけでもないので、準備したという気持ちだけは整えた。


「よし!いけるぜ。あと俺は言峰ことみねだ。いつまで読み間違えてるんだ。」


 現場へと走っていく。

 身で裂く空の感覚で、身体能力の向上を感じる。


「で、妖精さんよ。今回の悪人デザイナーは誰なんだ?」


「今回のデザイナーは女性改変ウーマンデザインだ!理想の女性への改変デザインを行う能力を持っているんだ。」


 さ、最悪じゃないか。

 

「そりゃ殴りがいがあるな!」



「アリス♡俺と結婚してくれませんか?」


 現場に到着。そこは先日までは結婚式の会場として使っていた場所であり、小太りの男が、金髪ロングの美女に求婚していた。


「嫌!………い、い…。」


 アリスと思われる人物は、突然白目を剥いた。正気に戻ったかと思えば──


「よろこんで!」


 アリス?は涙を流して、嬉しそうに小太りの男の手を取った。

 その間に流れる空気は異質で、不気味だ。


「今のが改変デザインだ!デザイナーはああやって改変するんだ!そこで君の出番だ!ゲンポー!デザインブレイクナックルでぶっ飛ばせー!」


 大興奮の妖精を背に、少々の畏怖と不快感。困惑を込めてデザイナーへ拳を放つ。


「デザインブレイクナッークル!!」


 一撃でデザイナーは鐘へと吹き飛び、カーン!と澄んだ音を奏でた。


 アリス?は気絶しており、取り敢えず拠点廃墟ビルで休ませることにした。


 日が落ちかけたくらいの時、アリス?は目を覚ました。


「だ、大丈夫…か?」


 心配で声を掛ける。


「……。」


(だ、黙ってるままだ。大丈夫…なのか?)


「助けて、くれたの?」


「そうだよ。き、君…アリス?だっけ。体に異常とかない?」


「特に無いわ。それとあたしはメアリー。よろしくね♡」


 突然ハグされてしまった。なぜ!?

 余りの衝撃に、あたふたと慌ててしまう。


「私の王子様!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る