第45話 フィギュア

 戻る前にハスキーを撫で回してから寒冷エリアを後にした。

 後は灼熱エリアだな。もう疲れたしエリア拡張だけして帰ろう。


 たったか走ってやってきました灼熱エリア。

 ところで、何故灼熱エリアと名付けたか?寒冷の逆なんだから熱帯でもよかったが、熱帯気候というのは高温多湿な気候を指すからだ。

 俺は天候操作で熱波を生み出しただけ。砂漠気候でも熱帯気候でもない灼熱エリアにしたつもりだった。


 だがそこには、見事なジャングルが出来上がっていた。草原はどこに行ったんだよ。


 まぁいい。おかげで木材も手に入る。ここは灼熱エリア改め熱帯エリアと名付けよう。

 灼熱草原のスライムくらいなら相手にしてもよかったが、ジャングルで戦うのは今非常にめんどくさい。そんな気力はない。

 とりあえず木を一本蹴り倒して、それだけいただいていこうか。


 その前にエリアの拡張をしておいた。

 寒冷エリアと同じく、エリアの中心から4マス離れたところで天候操作スキルを発動。

 これで7*7のエリアになる。明日以降に中央部分で灼熱波を発動する予定。こっちも育ってくれたら最終的に9*9になるだろう。


 後はジャングルの木だ。余計なモンスターに絡まれないようによく見回してから、良さげな木の前に立つ。

 エリア自体が狭いからか、木のサイズも控えめだ。太腿サイズってとこかな。


「えいしゃああ!」


 動画で見て学んだローキックをぶちかます。軸足の回転が重要らしいよ、蹴り足をしならせて、打点に最も衝撃が入るようにするんだ。しらんけど。


 バギャ!と心地よい音がして、蹴った部分が砕け散った。素人の蹴りだが、身体能力がウルトラマンだからな。頑張ったら引っこ抜けたと思う。

 蹴った足も痛いが、木が砕けて衝撃を吸収してくれたのでそれほどでもない。つい力を試したくなっちゃったぜ。


 モンスターが寄ってくる前に、倒れた木を引きずってトンズラした。


          ◇◆◇◆◇


 木材をゲットして午前の部を終了した。


 木材の処理は解体スキルでささっと終わった。

 枝が伸びる手前で切って全部捨て。樹皮は指で剥ぎ取り、最後に包丁で大根を切るみたいに丸太に出来た。

 スキルって凄いな。派手な魔法じゃなくても、その性能はマジカルだぜ。


 時刻は10時半。体より気持ちが疲れて帰ってしまったが、おかげで作業を進める時間はある。

 出来上がった丸太は5本。太さも長さも太腿サイズ。これでフィギュアを作っていこう。


 細工スキルを使えば後はスキル任せなんだが、先に何を作るか決めよう。


 スキルで作ったフィギュアはきっと動くんだ。俺の寂しい気持ちを慰めてくれる相棒が欲しい。

 具体的には、ナイスバディで、ロングヘアで、ちょっと古風な感じもあったりして、素直でしっかりもの、料理が上手くて、ちょっと近寄りがたいけど、俺にだけはとびきり優しいお姉さん(年下)だな!


 流石に厳しいか?いや行ける。自分を信じられないなら、俺の信じるスキルを信じろ。スキルさんお願いします。


「細工スキル!発動だ!」


 スキルが発動する。見える。完成へと導く全ての流れが。

 彫刻刀を手に取り、荒く激しく削り出していく。

 みるみる内に形が整えられ、手の動きは静かに繊細に。

 呼吸を忘れ、己の精神すら消し去り、ただ手の中のものに魂を宿らせていく。


 そっと、完成したフィギュアを音も無く床に置く。

 呼吸を再開し、俺の精神も戻ってきた。

 目には完成したフィギュアの姿。満足だ。


「立ち上がれ。お前はモデル101,シリーズ800,個体名はアーノルドだ」


 俺の声に、怪しく目を光らせて反応した。

 それはゆっくりと、世界を確かめるように立ち上がり、俺を見上げた。


『キィーキッキ!ウキャ!』


「T-800はそんなこと言わない!」


 バギャアア!!


 つい破壊してしまった。仕方ないよね。唐山先生もトマト食べるまで全部割ってたし。芸術家の常である。


 何故か筋肉ムキムキマッチョマンの変態を作ってしまったが、本来の目的は美少女フィギュアだ。水○燈とかコッペ○ア(リメイク版)みたいなのを作るんだよ。


 しかし、この後に作った美少女フィギュアも同じ感じだったので、俺はフィギュア作りを止めた。


 素材の問題……かなぁ?

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