烏城崎京助の密室推理
@h-ar-u
第1話 事件発生
「古狼、お茶を淹れてくれ」
「もう!私はあなたの召使いじゃないってば!」
私は古狼透花(ころう・とうか)。
そして私を召使いみたいに扱っている彼は烏城崎京助(うしろざき・きょうすけ)。私と烏城崎くんとの出会いは数週間前に遡る。
私は生徒会書記だ。
今日も同じ2年の生徒会会計、立花沙耶(たちばな・さや)と生徒会室という名の空き教室に向かう。
私たちの通う羽根坂高校はお世辞にも生徒数が多いと言えず、設備も古い。そのため、部室棟の部室がとても汚く、生徒会含むほとんどの部活動や委員会では学校で使われていない教室が部室となる。部室棟があるのに使わないなんて勿体無い。まぁ、生徒会室は他の部活より少し大きい部屋に割り当てられてるからその分マシか。と、考えている間に生徒会室に着いた。
部屋には既に人が集まっていて、生徒会会長の姫川香恋(ひめかわ・かれん)先輩と生徒会書記で1年の布川栞(ぬのかわ・しおり)ちゃん、そして同じく1年で生徒会会計の鈴原健太(すずはら・けんた)くんの3人がいた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様っす!」
後輩2人が挨拶してくれた。
「お疲れ」
「お疲れ〜」
私たちもそれに応える。
「遅いぞ!2人とも」
姫川先輩が言った。先輩は少し厳しめな人なのだ。だが、とても真面目で誰にでも優しいため、とても尊敬してるし大好きだ。おまけにとても美人。同じ学年は疎か、学校中にファンがいるだろう。
「すみません。授業が少し延長しちゃって…」
「それなら仕方ないな」
私と沙耶は同じ2年3組。部活は各クラス授業が終わり、ホームルームが終わったら向かうことができるのだが、今日の6限は担任の先生の授業だったため、ホームルームの時間まで授業が延長されたのだ。
「あれ?今日は朝倉先輩来ないんですか?」
生徒会室には中央に机があり、それを囲むように椅子が並んである。所定の位置に座った沙耶からの質問だった。
「今日は図書室で勉強するらしい。私たちも今年受験生だからな。」
朝倉先輩というのは姫川先輩と同級生で生徒会副会長の朝倉和也(あさくら・かずや)先輩のことだ。学年でも1,2を争う秀才だ。生徒会は全部で6人編成のため、今日のメンバーはこの5人ということだ。人によっては他の部活動と兼部しているため、全員揃わないというのはそこまで珍しいことではない。ただ、他の部活動と兼部しておらず、今まで休んだことのなかった朝倉先輩がお休みなのは少し驚いた。よっぽど受験勉強が大変なのだろう。
生徒会宛に来ていた意見箱の内容を確認し、対策案を考えたところで今日の活動は終わった。
「鍵は私が返しに行こう」
姫川先輩が買って出てくれた。
各教室には鍵が付いており、鍵は職員室保管がこの学校のルールだ。
私達は先輩に鍵を任せ、先に帰宅した。
あの時の私は思いも寄らなかっただろう。
その翌日の朝、生徒会室で朝倉さんが死体として発見されるなんて。
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