平穏な日常

「包丁を使うときは片手で持って…」

「両手じゃダメなの?」

「やってみたら?怪我したいなら」

「怪我したくないしやらな〜い」

「そうしてくれ」


 楓なら好奇心でやりそうだけど、怪我したら授業料って事にしよう。

俺の前では絶対にやらせないけど。


「もう片方の手で食材を押さえるんだけど、手の形は?」

「うーんと…パー?」

「うん、なんでそれでいいと思ったのかな?」


 思わず真顔で聞き返してしまった。

流石にグーと言うと思っていたでこの答えは全く予想してなかった。

本当に楓に包丁を持たせなくてよかったと感じる。

やらせてたら絶対止める前に指何本か切り落としてたよなぁ。


「だって、パーの方が食材を押さえやすそうじゃん!」

「指が犠牲になるけどね」

「えっ…」

「え?」


 え…こいつ、どうやって食材を押さえるつもりなの…?

気になるが、そこには触れてはいけない気がしたのでスルーする。


「食材を押さえる方の手は人差し指と中指の第一関節を食材につけて…」

「うんうん」


 よかった…ちゃんと聞いてくれてる。

ここの説明を聞かずに怪我しましたとか

言われてもどうしようもないからな。


「で、この手の形を猫の手って言うから。

名前…は別に覚えなくてもいいけど形は忘れないでね」

「猫の手…にゃーん」


 そう言って猫の真似をする楓。

なんとなく、楓は猫より犬っぽいところがあるが、猫の真似もかわいい。

今度猫ミミ買ってこようかな?


「食材を切る時、大体は引いて切るけど、固い食材は押して切ってね」

「はーい」


 基本的な包丁の使い方を教えながら

きゅうり、トマト、ハムを切っていく。

卵は朝食べたので今回は入れない。


「次は麺を茹でるんだけど…火力に注意していれば大丈夫だね〜」

「そうなんだ〜じゃあ簡単だね!」

 

 うちはIHなので火事の心配もない。

ただ火が見えない分、火力の調節が初心者には

難しいがこれは慣れるしかない。


「やってみて。ヤバそうだったら手伝うから」

「わかった!」


 自信満々に鍋に水を入れる楓。

…そこまで水を入れると重いけど大丈夫なのか?


「日向兄さん…重いよぉ」

「……」


 目を潤わせながら訴えてくる楓。

やっぱり、重くて持てなくなったようだ。


「そういう時は水を捨てるといいぞ〜」

「わかった!」


 ここで手を出すのは違う気がしたので

解決方法だけ教えて見守る事にする。これも経験だ。


 その後特にトラブルもなく麺を茹で終わった。

ここからは俺の出番だ。


「お疲れ〜上手にできてたぞ」

「ほんと!?やったー!!」

「あとは俺がやるから見てて」

「はーい!」


楓にどいてもらい、鍋を持ち上げる。

先に用意しておいたザルに麺を移す。

空いた鍋の中に冷たい水を入れて麺を投入。

箸で捌きながら熱をとる。

何回か繰り返してから氷水にザルごとつける。

水気を切って盛り付けたら完成だ。


「おぉ〜、日向兄さん手際いい!!」

「ありがと。はやく食べようか」


 第一回お料理教室はこれで終了だ。

彼女にフラれてから落ち込んでいたが、

楓と過ごしているとその事を忘れていられる。

こんな平穏な日々が続きますように…






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまでお読みいただきありがとうございます!!!!!

これで夏休み編は終わりになります。

本当はもう少し書きたいのですが、物語が進みそうにないので…

次回からは物語が進みますのでお楽しみに!!


ここから告知です


本作は日向視点で進行していきますが、それだと他の登場人物の

心情が書ききれないのでまずは彩春視点を新たに書く事にしました!

あくまで外伝作品の立ち位置になる予定です。

(好評でしたら楓視点も検討します)

彩春視点はわかきにの前日譚メインになりますご了承ください。


最後にこの作品を面白いと思ったら

いいねや☆を付けていただけると嬉しいです!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る