十一 恋仲なんてあり得ない
「私たち、
四の姫が、
「ねー!! ちっとも来ないわよねぇ」
「毎日お
(いやいや、その努力が
みえも行けもしない花園に
「全く、どうしてそんなそっぽ向いてるのよっ、
(……なさっていたよ)
あの夜のことを
袖を振るたびに
よって、求婚の意を含む《夜這い》という表現は、絶妙に間違っているのである。
(口が裂けても云えないけどな)
あくまでここでは、陰陽師の青年が自分に恋文を送って、それを自分が
実際には、袖を重ねはしたが、眼薬を差しただけだ。
なぜ、
そうでもないと、自分だけでなく雅明まで、余計に白眼視されるからだ。
(治療で猫の手も借りたくなったとき、父上は私を呼ぶ。だが、それは患者が女か、
恋仲なら、そういう女が好みな奇人とおもわれるだろうが。
ただ、ほんとうの意図は、よく
(ほんとうに気があるのではとおもっていたが、あの
ときどき
なんの気持ちもない。そういうふうに、聞こえた。
「あらあらっ? その
「なんというか、まだじぶんごととして捉えられていないので……まるで、異国の知らないひとの身に起きているのを、
(大嘘だ。興味もなにも)
嘘は毒だが、
まあ、じぶんごととおもえないのは、あながち間違いでもないが。
「あら……でも、
「してません」
「抱かれは? した?」
「してません」
恋愛やら情事やらは、じぶんには縁遠い。
◇
その後ろで、
「これが眼薬と塗り薬。自分でできるね?」
「うん。……世話にはなったよ」
どんなに
ただ、春一番が吹く。
「さっさと職務に戻ったらどう? 《
「はっ、
「じぶんでじぶんを
「仕方あるまい、僕がつくれるのは
(
要は、
「ただ、僕は《
妙なことを急に
「失明はしたにせよ、《
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