潜在能力開発専門の催眠術師、異世界に転生する

katura

──才能は、覚醒するためにある──

 俺の名は風間統真。

 かつて現代日本で、潜在能力開発専門の催眠術師として知られていた。


 人は、生まれながらにして限界を持っているわけじゃない。

 心にかかった“蓋”さえ取り払えば、誰だって、自分でも信じられないほどの力を発揮できる。

 その真実を、俺は数千人の患者たちとともに証明してきた。


 だが、その人生も──ある日、唐突に幕を閉じた。


 信号無視のトラック。

 ブレーキ音も聞こえなかった。

 ただ、視界が暗転し、意識が途絶えた、それだけだった。


 ……目を覚ますと、そこは知らない空だった。


 


 目の前に、白銀の光を纏った存在が立っていた。

 ──神、なのか?


 その存在は告げた。


「お前には“使命”がある。

 この歪んだ世界に、“本来の力”を取り戻させよ」


 訳も分からないまま、俺は頷いた。

 それが本能であり、魂が欲したことだったから。


 次の瞬間、俺の身体は、眩い光に包まれ──

 俺は異世界へと転生した。


 


 目を開けると、そこは中世ヨーロッパ風の街並み。

 魔法使いが空を飛び、戦士たちが剣を交えている、絵本のような世界だった。


 だが、すぐに知った。


 この世界では、生まれたときに授かった「才能」がすべてを決める。

 才能がない者は、努力しても報われない。

 ──そう、決めつけられていた。


「……馬鹿な話だ」


 俺は嘲笑った。


 人間には、誰にだって無限の可能性がある。

 それを眠らせ、押し潰しているのは、他でもない──“意識”だ。


 ならば、俺のやることはひとつ。


 潜在意識に直接触れ、

 心の奥底に眠る“本当の力”を引き出す。


 


「──さあ、始めようか。

 この世界を、“覚醒”させる旅を」

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