第28話 反撃の準備と女神の『試練』
仲間との絆を取り戻し、精神的に立ち直った俺たちは、早速、反撃のための作戦会議を始めた。
敵は二つ。俺を排除しようと画策するゼノン・クォーツと、俺の力を狙う裏組織シャドウコイン。どちらも厄介な相手だ。
「まず、ゼノンの妨害をどうにかしないと、まともに動けないな」
俺が言うと、リリアが頷いた。
「騎士団からの圧力は、ギルドや商人ギルドを通じて行われているようです。直接ゼノン様をどうこうするのは難しいですが、彼らが動けないような状況を作れれば……」
「例えば、もっと大きな事件が起きて、騎士団がそっちに駆り出されるとか?」
斥候のミャレー(仮に仲間になったとする)が、悪戯っぽく提案する。
「あるいは、ゼノンの不正――権力の濫用を暴いて、失脚させるとか?」
魔法使いの少女(仮)が、冷静に分析する。
「シャドウコインの方はどうする? あいつら、俺のガチャ能力に気づいてるっぽいのが厄介だ」
「奴らのアジトを突き止めて、奇襲をかけるのが手っ取り早いけど……危険も大きいね」とミャレー。
「彼らが狙っているものが分かれば、それを逆手に取ることもできるかもしれません」とリリア。
俺たちは、それぞれの知識やスキル、そして街で集めた情報を持ち寄り、議論を重ねた。
以前の俺なら、すぐに「ガチャで強力な武器でも引けば解決だろ!」なんて考えていたかもしれない。だが、今は違う。仲間がいる。こいつらの力を信じ、知恵を絞れば、きっと道は開けるはずだ。
俺たちは、ゼノンとシャドウコイン、両方の動きを牽制しつつ、同時にフェンの治療費と当面の活動資金を稼ぐための計画を練り上げた。危険だが、成功すれば一石三鳥を狙える作戦だ。
計画の準備を進めていると、またしても、あの女神フォルトゥナが現れた。
「あらあら、随分と熱心に作戦会議ですこと。少しは見どころが出てきましたわね」
フォルトゥナは、どこか面白そうに俺たちを見回す。
「何の用だ。また嫌がらせか?」
「まさか。今のあなた方に、わたくしから『試練』を与えましょう」
試練?
「内容は……そうですねえ、『月の女神の涙』と呼ばれる希少な宝石を、三日以内に手に入れること。ただし、その宝石は現在、リューンの大富豪が所有しており、厳重に保管されていますわ」
なんだそりゃ。どう考えても無理難題だろ。
「達成できれば、借金を大幅に減額するチャンスを差し上げますわ。もちろん、失敗すれば……それ相応のペナルティを受けていただきますが」
フォルトゥナは、悪戯っぽく笑う。
「ちなみに、その宝石には、強力な浄化作用があるとかないとか……。まあ、頑張ってくださいな」
浄化作用……? まさか、フェンの呪いを解くのに使えるのか!?
フォルトゥナの真意は分からない。単なる嫌がらせか、それとも本当にヒントを与えようとしているのか。
だが、フェンを助ける可能性があるなら、やるしかない。それに、この試練を達成する過程で、俺たちの反撃計画に必要な何かが見つかるかもしれない。
「……分かった。その試練、受けてやる」
俺はフォルトゥナを睨みつけ、宣言した。
「よろしい。では、健闘を祈りますわ」
フォルトゥナは満足げに頷くと、姿を消した。
俺たちは、フォルトゥナの試練――『月の女神の涙』の入手方法について、再び作戦会議を開始した。
大富豪の屋敷に忍び込む? いや、それは危険すぎる。何か別の方法があるはずだ。
リリアが神殿の古い文献を調べ、ミャレーが裏社会の情報網を探り、魔法使いの少女が宝石の特性を分析する。俺は……【絶対幸運】を信じて、街で情報を集めることにした。
試練への挑戦を通して、俺たちのチームワークはさらに磨かれていく。そして、この試練が、ゼノンとシャドウコインへの反撃の鍵となることを、俺たちはまだ知らなかった。
「よし、準備は整ったな。まずは、あの宝石を手に入れるぞ!」
俺たちは、新たな目標に向かって動き出した。反撃の狼煙は、もうすぐ上がる。
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