◆次回――第四章 ルシフル学園への扉が開く。

◆次回 第四章 ルシフル学園



 シエルは独り――クロトへと繋がる手がかりを探し、暗い森の中を彷徨っていた。 運よく馬車に乗った夫婦に拾われ……ガタつく道を進んでいく。 馬が蹴り上げた地面から、砂埃が舞い上がり。 流れゆく景色の中――ルシフェル学園都市へと向かう馬車に……不穏な風が降りかかる。

 指先からすり抜けて行く、心……魂の記憶は、時計の秒針と共に時を刻んでいく。


「怖い、助けて――」


 視界は雪のように白く――旋律は黒い歌を奏でる。

 騎士の馬は、煌めく翼を広げ、新たな地へと彼女を送り出す。 巨大な城門、その先に、待っている、つかの間の日常……華やかなドレスを身に纏い――回る、回る……永遠の花が散る様に。 


「そんなところに座り込んで、ひとりぼっちで……良いザマだ」


 ゆっくりと、その身をほころばせ――そこに居るはずだった過去が、シエルを待ちわびていた。


 「あぁ――あなたを、好きになってしまいそう……」


 触れ合った指先の求める先は――

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