幼馴染は全員【Lv99】でカンストしてる〜【Lv99】しか生まれない村の赤ちゃんに転生したのに【Lv1】だったが、みんな私のことを最強だと勘違いしている〜
皇冃皐月
第1話
私は元々日本で暮らしていた。
とあるRPGを徹夜でクリアし、目を擦りながら自転車を漕いで学校へ向かっている中、トラックに轢かれて死んだ。
そして目が覚めたら赤ちゃんになり、ソフィア・スタリオンという名前を新たに貰った。
それからこの世界で生きていく中で、わかったことがある。
この世界は死ぬ前に私がクリアしたRPGの世界であるということだ。
で、私は攻略後に行くことができる特別な村で生を受けた。
ゲーム内においてこの村はRPGのやり込み要素の一つだった。
この村の住人は全員Lv99。カンストしている。
ゲーマーによればこの村の住人を全員倒せるようになったら真のゲーム攻略なのだそう。
まあそういうわけで、私もLv99が約束されたってわけだ。
つまり勝ち組!
無双、チート、最強、俺TUEEEE! いや、私TUEEEEか。
まあうん、とにかく、異世界転生最高っ!
◆◇◆◇◆◇
五歳になった。
私はこの村でとある三人と仲良くなった。
赤茶髪のポニーテールが似合うリーナ・フォルテ、水色に光る長い髪の毛をいつも靡かせているフィン・エルテナ、金髪ポニーテールでスタイルはこの三人の中でずば抜けて綺麗なベル・ドレディア。
彼女らは私と同じ年にこの村で生まれた。
幼馴染ってやつだった。
とても仲が良く、将来は一緒に冒険者になろうね、と約束していた。
遊ぶ時はいつも冒険者ごっこ。村を探検したり、木を魔物に見立てて攻撃したりしていた。皆元気がありすぎて、時々疲れるな〜ってこともあったのだが。それでも総合すればとても楽しく過ごせていた。
そして時は流れ、十五歳。
この世界の定めとして、十五歳になったらLvの測定を行わなければならない。
この村の住人は皆Lv99。
測定したって出てくる数字はカンストなのだが、そういうルールだからしょうがない。
「Lv99だった〜」
「あたしも!」
「普通……そう」
リーナとフィンとベル。私以外の三人は既に測定を終えていた。
当然のようにLv99を出している。
さあ、私も出してきますか、Lv99。
のれんみたいなのをくぐり建物の中に入る。
それから村長の指示に従ってレベル測定器に手を当てる。
表示されたのは『Lv99』ではなくて『Lv1』だった。
すぐに手を離す。
村長はどうせLv99だろうと思っていたようで、表示を一切見ていなかった。
「ありがとうございました」
と、村長にお礼を言って、さっさと立ち上がる。それから顔を背ける。
おーっと、ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
どうしよう、どうする、どうしたらいい。
私Lv1だったんだけど。
見間違いかな? いや、無理だ。どう見てもLv1だ。
いや、正直みんなより弱いなってのはなんとなくわかってた。
遊ぶ時、みんなは無尽蔵の体力を持っているのに私はすぐに疲れるし、かけっこは追いつけないし、みんな木を叩いて幹を抉ったりしてたのに私は削ることすらできてなかったし。
でもLv1だとは思わなかった。
クソザコじゃんか!
とりあえず、隠そう。
Lv1であることは隠そう。
バレたら仲間はずれにされちゃうかもしれない。
「お待たせ」
のれんみたいなものを触りながらひょいっと顔を出して、三人に声をかける。
「ソフィアはど〜だった?」
リーナはふと訊ねてくる。
「うーん、秘密かな」
唇に指を当て、おどける。
「もしかしてソフィアっちLv限界突破してたりして!?」
「普通、秘密にしない。だからその可能性ある」
「うお〜、ソフィア最強?」
誤魔化せたけど、変な勘違いをされた。
……大丈夫かな?
建物から足を一歩外へ踏み出すのと同時に、入口の石段につまづいた私は、咄嗟に手すりを掴んだ。
すると、手すりがバキィィン! と音を立てて折れた。
「え……ソフィア、今、手すり……素手で?」
「……ソフィア、あんたやっぱり限界突破してるっしょ」
「マジ〜? 最強じゃーん」
いやいや違う。違うから!
これ壊れたのたまたまだから。
私Lv1なんだよなあ。と、心の中で突っ込んだ。
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