プライベート次元で特訓だ!
朝食を終えた俺たちは、【プライベート次元】の入り口へと向かった。
「ここが……俺の作った空間、プライベート次元だ。さ、入ろうぜ」
パシンと指を鳴らすと、空間がゆがみ、白く光るゲートが現れる。俺が一歩踏み入れると、みんなもあとに続いた。
――どこまでも続く真っ白な大地。空も壁も床もなく、広大な空間が広がっている。
「わぁ……!」 ミュウがくるくる回りながら、興味津々に見渡している。
「ここ……どこにゃ?」 「なんか……不思議な感じする……」 「前にも来たよな。あの時は治療中だったけど」とミチオが言い、リンも頷いた。
「あの時はぼんやりしてたから……ちゃんと見るのは初めてかも」
「ミュウちゃん、ここは俺の力で作った空間なんだよ」 しゃがんで目線を合わせながら言うと――
「にいにが作ったの!? すごすぎるにゃ!」
ミュウの目がきらきらと輝く。ハクマルが俺の肩の上で「くぅん」と鳴いた。今日のハクマルは観戦専門だ。
「さて。今日の目的はレベル上げと実戦訓練。敵はこいつらだ」
手を掲げると、地面が盛り上がり、土の塊が次々と巨大なゴーレムの形に変わっていく。それぞれのレベルやスキルに合わせて調整済みだ。
「ミチオは魔法連携に集中。近接は控えめでいい」 「ラジャーっす!」
「リンは回復とサポートだけじゃなく、今日は自分でも戦ってみよう」 「うん……ちょっと緊張するけど、やってみる」
「ミュウちゃんは回避とスピードの練習な。攻撃は様子見で」 「はいにゃ! ミュウ、頑張るにゃ!」
「よし――開始だ!」
俺の合図で、ゴーレムたちがゆっくりと動き出す。中型サイズでパワーも本物だ。
「火球、いっけえええっ!」 ミチオが前に出て火魔法を放つ。ズドンと音を立てて、ゴーレムの片腕が吹き飛んだ。
「お、いい威力だな」 軽く拍手しながら後方から見守る。ハクマルも「くぅ~ん」と嬉しそうに鳴いた。
「バリアっ……! ミュウちゃん、気をつけてっ!」 「にゃっ!? うわっ、あっぶにゃい!」
リンの【バリア】がミュウを守る。スピードに驚いたミュウはぴょんっと飛び跳ね、すぐに体勢を立て直す。
「ミュウ、逃げるの得意にゃーっ!」
「その調子。でもちょっとでも攻撃しないと経験値入らないぞ~」 俺が笑いながら言うと、ミュウは「にゃにっ!?」と驚き、背後から小石を拾ってゴーレムに投げつけた。
ぱすん。地味に命中、HPバーが少しだけ減る。
「おっ、ちゃんと入ったな。じゃ、フィニッシュ頼んだ」
ミチオが風魔法でとどめを刺し、ゴーレムが砕け散る。
――数秒後。
ピコン、とシステム通知音が頭に響いた。
【経験値獲得】
【ミュウ Lv 7 → Lv 8】
【イカリ・ミチオ Lv 30 → Lv 31】
【ハルミ・リン Lv 30 → Lv 31】
「やった……上がった!」 「おっしゃ! オレもだ!」
ミュウも嬉しそうにくるくる回る。それに合わせてハクマルも飛び降り、ぐるぐるダンス。
「こらこら、ハクマル。お前は観客だろーが」 俺が苦笑すると、ハクマルは「くーん……」としょんぼりして戻ってきた。
「まあ……俺が最後に一撃入れたら、経験値みんな吸っちまうしな。今日は裏方でいいや」
その言葉に、ミチオとリンがふっと笑う。
「兄貴が本気出したら、全部終わっちまうっすよ」 「……その差が逆に安心感あるよね」
少し休憩を取ったあと、みんなその場に座り込んで息を整えていた。
「ふぅ……疲れたけど、なんか楽しかった」 リンが紅潮した頬で微笑む。汗を拭きながらも、その表情はどこか誇らしげだった。
「レベルも上がったし、満足っスね!」 「ミュウもいっぱい動いたにゃ~……でも頑張ったっ!」
そんな様子を見ながら、ふと気づいた。
「そういやさ……さっき一気に戦ったのに、レベル1しか上がってねーな」
「えっ? あ、たしかに……」 ミチオが首を傾げる。
「たぶん、パーティに入ってたせいだな。経験値分配されてたんだ。ちょっと確認するわ」
システムを開いてパーティ情報を確認――やっぱり、ミチオ、リン、ミュウの名前が並んでる。
「よし、じゃあ一旦パーティ解除する」
【パーティー作成】のキャンセルを選ぶと、光が三人の上でふわっと弾けて解除完了。
「これで、次からは経験値が個別に入るはずだ」
「ってことは、もっとレベル上がりやすくなるってことにゃ!?」 ミュウが目を輝かせる。
「まあ、その分敵もちょっと強くなるけどな。さて……次は個別訓練といこうか」
三人の方を見ながら、問いかける。
「どんなゴーレムと戦いたい? 自分のやりたい訓練、教えてくれ」
最初に口を開いたのはミチオだった。
「オレは……動き速くて魔法に強いやつっスね。できれば数も多めで。いっぱい倒せば経験値もガッポリっス!」
「ははっ、マジかよ。倒しきれるなら作ってやるよ」
次にリンがゆっくりと答える。
「私は……回復と支援の練習がしたい。味方を守れる状況が欲しいから……攻撃がちょっと痛いくらいのがいいな」
「なるほどね。闇属性のゴーレムとか、どうだ?」
リンが少し驚いた顔をしつつ、すぐに真剣な表情で頷いた。
そして、最後にミュウが手を挙げた。
「あたしは、あたしと同じくらいの大きさの、速いゴーレムがいいにゃ! 五匹くらいで、追いかけっこみたいな訓練したいっ!」
「おっ、いいね。ミュウには機動型の小型ゴーレムってとこか」
三人の要望を聞きながら、俺はそれぞれに合わせた訓練内容を組み立てていく。
「よし、それぞれの強みを引き出す訓練……面白くなりそうだ」
そう思いながら、俺は次の準備に取りかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます