第19話 真実と深層②
悠「ブツブツ?そうだっけ?……僕が僕でいる計画。ひとりの男で有りたい計画。キミは目障りだった……初めて会ったときから、僕からしたらとんでもない予定外で……やっと叶う夢だったのに、壊されるものかって必死だった……だからお金で解決しようとしたんだ……でもキミたちは受け取らなかった」
誉「そんな感じだと……お前の母親は徹底的にお前を娘として育ててたみたいだな」
悠「そうさ……青山先生にも心配されたし、僕の周囲でも疑問は絶えなかった。ゴリ押ししてやり過ごしたさ。学ランを着ている、から、男だって。道具を使わなければ証明もできない。悲しくて泣きそうなこともあった。でも頑張って笑顔を作って、振舞って……僕がこんな顔をしているから……こんな、こんな……女みたいに!俺は!男だ!……キミたちには少し期待をしていたんだよ?本当の俺を見つけてくれるかもしれないって……けれどそのキミたちにすら、俺が女に映ってた」
誉「…………」
悠「嘘だって。ははっ誉くんは言ったよね。その通りさ。全部嘘……にこにこ笑っているのももう疲れた……」
誉「やめんの?」
悠「……うん、キミの家に連れてきてくれてありがとう……街から離れていることは知ってたんだ……楽しかったよ、こんな体験もう二度とできない」
誉「つまんないなぁ」
介「誉……やめないか」
悠「つまんない?……誉くんってさ、そんな単純な論理で脳内作られてるの?面白いか、つまらないか。それだけで、生きてるの?」
誉「単純?」
悠「そうだよ!誉くんはさ、物事を簡単に捉えすぎている!学校では伊東くんに頼ってばかりだし、授業中なんて上の空……くだらない事に興味持って…………自分の人生なんだよ?!ねぇ、そんなんで良いの?!」
介「勝田、そのくらいにしろ!」
誉「介麿、良いって。……自分の人生だから、そんなんで良いんだ」
悠「は?」
誉「難しく考えて、苦しくて、もどかしくて、独りぼっちで、やっと掴んだ希望さえも幻想で?……可哀想とでも言ってもらいたいの?悠蔵」
悠「何を分かったような口きいてんだよ」
誉「分からねぇよ?分からねぇから言えんだよ。お前だってそうだろ?俺のことなんて、実際何一つも分からねぇだろ?表面上の情報で繋がる、世界はそんな仕組みなんだ」
悠「何が言いたい……」
誉「堂々としろってんだよ。自分に嘘までつくことないだろ?……悠蔵が男なら男なんだ。笑いたい時笑って、泣きたい時に泣いて……それがいけないっていうなら、俺が許さない」
悠「そこまで誉くんにされる筋合いはないんだけど」
誉「そう?じゃあ、握手しようぜ」
悠蔵に手を伸ばす
悠「はい?」
誉「ほら、さっさとしな」
悠「……」
眉間に皺を寄せて嫌々俺の手を掴む。
誉「いだだだっ!!悠蔵テメェ俺の手を握り潰す気かよ!!」
悠「誉くんが力無いだけでしょ……俺より握力無いとか相当だよ」
悠蔵は溜息をつき、散らばってる私物を片付け始めた。
誉「大親友だぜ?俺ら」
悠「はぁ?キミって本当に……」
誉「俺の大親友になりたくねぇの?介麿は大親友なのに?(アハハ、ある意味呪いの契約みたいなもんだ)」
悠「えっ、何それ怖い……伊東くん騙されてるんじゃないの?」
介「大親友だぞ」
また無表情で……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます