英雄
ゴツくてイカついとにかく派手な剣を持ったフレデリクがダミアンの元へ向かう。
「フレデリク!どうしてここに……?」
「魔物の目的がどうも君だったらしくてね、ウルトリエの魔物目撃情報も増えてきたし折角だから蹴散らしにきたんだ!」
怖いなこいつ……しかし礼はしなければ。
「英雄殿、助けていただいた事感謝する」
「いいえ、ダミアンの為にきたのです。礼をいわれるような事はありません」
なんだこいつ……英雄になると不敬は治らなくなるのか?
「しかしダミアンはスオムレイナムにいた頃よりとても幸せそうに見えます……。認めたくはないのですが、貴方のもとで幸せに過ごしてきたのでしょうね」
……まあ認めてくれたしダミアンの事が好きみたいだしいいか……。こうしてろくに注意しないからフレデリクは増長してしまうのだろうか。
「これはダミアンを愛してくださった貴方へ、友人としての感謝の気持ちです」
フレデリクが剣を構えて祈るようにすると眩い光がウルトリエを包んだ。そして魔物という魔物が蒸発していった。前世の物語で散々披露していた技はこんな物騒な技だったのか……。
――――――――――――――
「フレデリク、もう行ってしまうのか?」
英雄のおかげで平穏を取り戻したウルトリエから英雄は去ろうとしている。
「まだ魔物を完全に消せたわけじゃないからね。全てやり遂げたらうちの王様が凱旋してくれるって。その時には是非会いにきてほしい」
フレデリクが差し伸べた手をダミアンが握り返す。
これ、とても熱いシーンだよな。本編で敵対してしまった友人2人はこうしてわかりあう事ができるのだ。
「アロイス殿下。……ダミアンの事、よろしくお願いします」
あの英雄が私に頭を下げた……!?珍しい事もあるのだな……。
「でも認めたわけではありませんからね」
そうでもないな……。
――――――――――――――
ウルトリエの復興に追われているうちに、英雄フレデリクが魔物を全て排除したとして賑わせている。
街はめちゃくちゃになったものの英雄の迅速な行動で死者が出なかった我が国では英雄の人気が高まりつつある。
ダミアンもフレデリクが褒められているのを喜んでいる。
「英雄殿が恋しいのか?」
ダミアンの心がここにあるのは分かっていても別の男を褒めているのを見るのは面白くない。
「そう思えるのも貴方のおかげです。貴方がフレデリクと私を友人に戻してくださったのです」
ダミアンが私に笑いかける。私はダミアンを失わずに平和な世を手に入れたのだ。
愛しい天使は今日も私の隣で笑っている。
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