その後
魔物が完全に討伐され、ウルトリエも大分活気が戻ってきた。そんな中で、民から「アロイス殿下は結婚式を挙げないのですか」と声があがった。
今更すぎるしダミアンとは分かりやすく愛し合っているのに必要だろうか……と漏らせば絶対要ります!と更に強く声が上がった。どうやら署名活動するにまで及んだらしく
「ウルトリエの再出発には丁度良いイベントだと思うがな」
という父の押しもあり結婚式をする事になった。
あまり乗り気はしなかったが兄上たちが「母上と嫁殿は相当ダミアンの衣装に拘っておられる。きっとすごい美人が出てくるぞ」というので少し楽しみになってきた。元から美しいけどね。
――――――――――――――――
当日は大いに賑わった。
救国の英雄様も来るとの事でそれはもうえらいことになった。
「うう……ダミアン……本当に結婚してしまうのか……」
「認めていただけますか?ご友人殿」
「認めてません。昔からいつもダミアンにべったりして本当に気に入らない人でしたよ」
「私の根気勝ちですからね」
結局フレデリクからは認めるの単語は引き出せなかったが、やろうと思えば私を殺してダミアンを連れ戻すなど容易いのにしないから受け入れてはいるのだろう。
「結局ダミアンのご実家は来ないのだな。薄情なことだ」
「奴らなら来ませんよ」
は?と思いながらフレデリクを見る
「ダミアンを虐げた挙句、魔物になっていたのです。あの豚どもは私が排除しました」
そういうのは教えておいて欲しい。通りで返事が来ないわけだ……。
「だからダミアンには貴方たちしか身寄りがないのです。もし虐げるなどすれば豚どもと同じ道を辿らせてあげますよ」
認めてるのかいないのか、恐ろしすぎる。この危険人物は早く国で囲った方がいいだろうな。
英雄殿の怖すぎる話を聞いているうちに母と義姉がやってきた
「準備ができたわよ。ほら、迎えに行ってあげなさい」
言われずとも、と私はダミアンの元へ向かう。
――――――――――――――
控え室に向かうと、そこにはこの世のものとは思えないほど美しい人がいた。
「アロイス様……お義母様とお義姉様が選んでくださったのですが……ど、どうでしょうか……?」
ピッタリとしたスーツは彼の鍛え上げられた美しい体を強調し、ところどころあしらわれた細やかなレースが可憐な印象を更に与える。そして胸元にはあのネックレスが輝いている。
「アロイス様……?」
いけない。見惚れて返事を疎かにするのは悪い癖だ。ダミアンが不安がってしまう。
「あぁ……申し訳ございません……貴方がとても美しかったので見惚れてしまいました」
初めて会った時と同じようなことを口にしてしまった。ダミアンは照れて顔を赤くしながらもはにかんだ
「貴方は変わりませんね」
「勿論。貴方への愛は強くなるばかりだ」
手を差し伸べるとふわりと優しく手を重ねられる。
この先にお前を虐げ罵る者はいない。あるのは溢れんばかりの幸福だけ。
こうして一歩、また一歩と進んでいくのだ。
私たちは私たちを祝福する人たちの元へ向かった。
その子は幸せにするので私にください! むむに @mumuni
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