第9話 そうして2人は

「希夢っ!」


 朝起きると、なぜかそこには幼馴染の胡桃がすごい形相で俺を見つめていた。

 いや、アンタ何してんの?確かに家は隣同士で家族ぐるみの付き合いだけど、入る領域にも限度があるでしょうが。

 ぼやける視界を何とかクリアにしていき、胡桃の方を見ると、なぜか彼女の後ろには……。


「やあ」

「やあじゃねえよ。この野郎」


 なぜか彩虹がいた。何でお前がここに居るんだよ。住所のじの字すら教えとらんわ。

 まあ、どうせ胡桃か大斗に教えてもらったのだろう。


「……で、ベッドの上で寝ながらの話になるが……」

「語弊のある言い方をしないでもらおうか。押しかけてきたのはそっちなんだからな」


 俺のツッコミにニヤニヤと笑う彩虹。イラつくな、その顔。昨日まで無表情だったくせに。


「で、何の用だ」


 俺の尋ねに対し、胡桃はモジモジとし始めて、彩虹は「なに。単純な話さ」とニヤニヤを崩さずに語りだす。そのニヤニヤをやめろ。


「単刀直入に言おう。君にはこれから、私たち2人の恋人になってもらう!」

「……バカなの?」


 彩虹って、天才少女のはずなのに時々バカだよな……。

 俺の冷たい視線に対して彩虹は「失礼だよ」と淡々と返す。


「実のところ、相澤さんがキミのことを好きらしくてね」

「え?マジで?」


 今まで疎遠すぎたくらいなのに、どうやって好きになるんだよ。

 胡桃の方を見ると、顔を真っ赤にしながら必死にコクコクと頷いている。どうやらマジのようだ。……え?エイプリルフールじゃないよね?


「残念ながら今日は5月10日だ」

「ははは……。帰りた……って、ここが家だった」


 とうとうバグり始めた脳を必死にフル稼働させ、何とかこの状況を理解しようとする。

 あー、あー。ショートしそうだ。心なしか、頭のてっぺんからプスプスと焦げた音が聞こえてくる。


「……で、どうするんだい?」

「まずはそのニヤニヤ顔を止めてもらおうか!」


 そもそもなぜそんな結論に至ったのか説明をしてもらわないと……。


「私も君を譲るつもりは無いし、彼女も譲る気が無い。なら君をシェアするしかないだろう?」

「心の中を読むな。あと、そんな結論に至るか、普通」

「そんな私はイカれてるとでも言いたいかい?」

「……」


 俺の恋人はそう言って自信満々な様子。それはどこか、俺の細かい思考を吹き飛ばしてくれるようで……。

 俺は気付けば胡桃の方をジッと見つめていた。


「……胡桃は、これで本当にいいのか……?」


 俺が恐る恐る聞いたその質問に対して胡桃は……。


「うん。……私は、希夢が好きだから」


 そう答えて笑ってみせた。


────────

はい。というわけで宣言通り超短く完結させるつもりです。具体的には次回で完結ですね。へへっ。(テヘペロ)……気持ち悪いですよね、すみません……。

というわけで、冴木シリーズも次回で完全完結です!

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