第8話 幼馴染VS理系女子
「じゃあな!彩虹!」
「あぁ。また明日」
希夢と大斗が廊下をダッシュで帰っていく様子を見送った後、私はそのまま物理室で実験をしようと足を向ける。
「あ、あのっ!」
が、それを何者かに言葉で止められてしまうわけだが。
声のした方にふと振り返ると、そこには気の弱そうな物腰でこちらを見つめる一人の美少女がいた。
初めて見る人だ。ネクタイの色からして希夢と同じ学年なのだろうが。
私はその少女の出方を窺いながら、恐る恐る声を返す。
「なんだい。悪いけど、この後は用事が……」
「の、希夢と仲が良さそうだったけど、どういう関係!?」
「……ふむ」
なるほど、そう来たか。
彼女は恐らく、希夢に好意を抱いているものの一人だろう。希夢、顔は普通なのに意外とモテるんだな。
心の中で彼に対する評価を改めながら、私は「そうだね……」と答えを模索する。
……変に濁すのも良くないし、ここは直球に言ってしまったほうが良いのだろうか。
彼女を傷付けてしまうだろうが、素直に言ってしまうべきだろう。
「私と希夢は恋人関係にある。……この答えで満足かい?」
「……っ!」
その言葉を聞いて彼女はそっと顔を俯かせてしまう。やはり傷付けてしまっただろうか。
彼女の出方を窺っていると……。
「ズルい!」
「……え?」
思いがけない言葉が飛んできて、私は柄にもなく素っ頓狂な声を上げてしまった。
ず、ズルいだと……?羨みという感情だろうか。
「私が最初に好きになってたのにズルい!」
「え、えぇ……?」
なんと理不尽な……。交際に当たって時間は関係無いと感じるが……。……待てよ。
彼女の嫉妬心。それを利用して実験することも可能ではないだろうか。丁度、心理学に手を出そうと思っていたところだし、良い実験だ……じゃなくて、友人になってくれるだろう。
私は内心でドス黒い感情を渦巻かせながら、それを悟られないように表面上は真顔で話し続けた。
「君がもし、希夢を狙っていると言うのなら、申し訳ないけど諦めてもらおうか」
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