第3話 青野くんは計りたい
青野side……★
「青野くんと付き合ったふりをすれば、手毬くんがヤキモチ焼いてくれるかな?」
不安の色を隠せないまま、日向ちゃんは口元に手を添えて悩ませていたけれど、正直なことをいうと俺の企みはそれだけではなかった。
(せっかく可愛い幼馴染が勇気を振り絞って告白したのに、それを
だから俺は盛大な嫌がらせをしてやろうと思う。
ふはははは! 偽装とはいえ日向ちゃんの彼氏になったんだ。計画の為と称して、あーんな事やこーんな事をしてやろうじゃないか!
「とりあえずさ、信憑性を高める為にデートでもしよっか? 手を繋いで帰ろうぜ、日向ちゃんよォ」
「うん、よろしくね」
一ミリの疑心も抱くことなく差し出された手に添える彼女を見て、俺の方がカァァァァーっと顔を赤く染めた。
や、柔らかい……! じゃない‼︎
おいおいおい、日向ちゃん!
君は西戸のことが好きだったんじゃねぇのかよ!
「え、だって……これも手毬くんを振り向かせる為の作戦でしょ? 私、手毬くんの彼女になる為だったら何でもするよ!」
うっ、恋する乙女、強し!
いや、こんなに素直だと逆に不安になっちゃうんですけど?
この子、R−18な世界に転生しちゃったら真っ先に鬼畜達の餌食になって調教されるタイプー!
『彼氏に悦んでもらうために、たーっぷり練習しような? まずは穴という穴を極めようか……ゲフフフフフ』
「うわぁぁぁぁぁぁぁ! そんなのダメだダメだ、ダメだ! 日向ちゃん、君はさぁー! もう少し人を疑うことを覚えなよ! 知らない人についていっちゃいけないって言われなかった⁉︎」
自らの妄想を払うように思いっきり手払いをしたが、当の本人はキョトンとした顔で首を傾げていた。
「え、でも青野くんは知らない人じゃないし、いい人だって知ってるよ」
俺は君が思うほどいい人じゃないですから!
日向ちゃんには悪いけれど、俺は十数名の女の子とイチャイチャな関係を築いてきたし、エッチなことをする為には平気で嘘をつくような悪い男なのだ。
泣かせた女子の数も両手では足りない。
彼女を寝取って、恨みを買ってボコられたことも少なくない。
今回だって、西戸を後悔させたい気持ちが大半わ占めているものの、あわよくばって気持ちもなくはない。
しかし、こんなにも真っ直ぐな目で見られたら裏切ることなんて出来やしない。
(……ふっ、俺もまだまだ悪くなりきれていないな)
一先ずは日向ちゃんの為に人肌脱ぐとしよう。
だが、その後の西戸の行動次第では、俺も強行突破させてもらおう(二つの意味で)
「ってことで、早速今日から俺達は偽装カップルってことで!」
「よろしくね、青野くん」
——……という流れで、現在に至るわけだが。
やはり西戸は日向ちゃんのことが好きらしい。
好きなくせに振るとか、本当におバカ過ぎて救いようがないのだけれども。
(さぁて、どうやって西戸に嫉妬させて、行動させようかな?)
こうして俺達の、日向ちゃんの恋応援計画が実行されることとなった。
そして結果的に、俺も西戸も想定以上に日向ちゃんに振り回されることとなるのを、まだ誰も知らない。
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