第3話 美少女のツン

「チッ、邪魔よ。こんなゴミ、足手まといにしかならないんだから」


アリスは鋭く言い放った。

教室の真ん中で、ひとり立ち尽くしていた俺、レンに向かって。


──まあ、俺も慣れてるけどな。


「ああ、わかってる。邪魔しないように気をつけるよ」


それだけ答えて、俺は静かに自分の席へ戻る。

周りからクスクスと笑い声が上がる。


……でも、そのとき。


ちらりと、アリスの赤い瞳が揺れたのを、俺は見逃さなかった。


(……なんだよ、おまえ、泣きそうな顔してんじゃねぇか)


もちろん、そんなこと、俺は口に出さない。

だけど。


翌日。

アリスは俺の練習場にふらりと現れた。


「ちょっとだけ……ちょっとだけ、あんたに剣の構えを教えてあげるだけなんだからっ!」


顔を真っ赤にして、そっぽを向きながら。

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