第13話 中盤の読み


『2回戦、カードをセットしてください』



 悩むケイジールを前に、俺はさっさとカードをセットした。



「……ううむ!」


「おい。はやくしろよ」


「だから今、考えているだろ!」


『ケイジール様、あまりの長考はゲームの進行の妨害とみなし、ペナルティを与えます。あと10秒でセットしてください』


「ほらな」


「ああ、もう! わかったくそう!」



 ケイジールもカードをセットし終える。



『出揃いました。カード、オープン』




 サイキ:『グー』



 ケイジール:『パー』




 ……ここで『パー』を出してきたか。もう1ターン遅いと思っていたが、商人の欲が勝ったか?



「よし! よしよし!」


「おい。まだ勝ったわけじゃないだろ」



 しかしケイジールは余裕の笑みを見せる。



「わかっていないな。商人というのはね、運もなければやっていけないのだよ。こういうところでワタシは悪い方へはいかないのだよ。それが商人さ」



 ずいぶんと出まかせ抜かすじゃねえか。

 さっきのジゴベとの勝負じゃあモロに当たってたくせに。


 ……それにやっぱり、この特殊効果の際に奴から“ヒリつき”を感じねえ。



「さあ、早く選ばないか」


「立場が変わった途端に態度がでけえな。……じゃあ」



 俺は目の前の画面から2を選んだ。



「じゃあ、ワタシが選ぶ番だ」



 ケイジールはスッと画面をさわる。



 ……ヒリつきのない理由がわかった。



 おそらくケイジールは、3を選んでいる。



 女神ザインが告げる。



『サイキ様の選んだ数字は2。ケイジール様の選んだ数字は、3。ヒットしませんでした。よって2回戦は、ケイジール様の勝ちです』


「ようし! 先に1勝したぞ、このワタシが!」


「…………」


「おやおや、読みが外れたかね?」


「うるせえ」



 たまたまの可能性もあるが、予想通り3を選んでいやがった。



 これで『グー』と『パー』が1枚ずつ出てきて、残り5枚。ケイジールはどういう振り分けの手札をしているのか……まだ予想はできかねるな。



『それでは3回戦目です。カードをセットしてください』



 俺は今回も『グー』をセットした。



『3回戦目。カード、オープン』




 サイキ:『グー』



 ケイジール:『チョキ』



「くそう! 負けた!」




 ……『チョキ』? なんで今? 


 ああ、『チョキ』か。そういうことか。


 これで1対1だ。



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