第3話 法力勝負



「ハァ、ハァ、つきました! ここが私の村です!」


「ゴメン……ちょっと酔った……おろして」



 地面に落とされた俺は、伏せながらも目線をあげると、そこにはささやかな村落があった。


 木々に囲まれた平らな土地に、高度な文明を思わせるようなものは見当たらず、自然と共生しているような暮らしに見える。


 ここが彼女の暮らしている場所か。とりあえず、まだ気持ち悪いのでまた伏せる。


 

「あっ!」



 驚くキリアの視線の先。


 村落の広間には、



 ――翼の生えた人間がいた。



「なんだ、ありゃあ……?」



 そう口にしたが、すぐに想像はついた。



 大きな翼を広げて白い衣を羽織って浮遊する女性なんて、女神以外に俺は知らない。賭けてもいい。……が、一応は聞いてみる。



「キリアちゃん、あれは?」


「あれは、法力の女神『ザイン』さまです! ……てことは、今から『法力勝負』が始まるってことじゃん! た、大変だ!」


「『ホウリョク勝負』? なにそれ?」


「え、えっと! 法力勝負というのはですね…………わ、わかりやすくいうと、お互いに物を賭けて女神さまの前で勝負することです!」




「なんだよ。あるじゃねえか。ギャンブル」



 俺はこのとき、ニヤついていたと思う。



「えっ!? ギャンブルって、法力勝負のことだったんですか!?」


「まあ似たようなもんだ。よーし、途端に異世界が楽しくなってきたぜぇ。俺、見に行ってくる!」


「あっ! まってくださいサイキさま!」

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