6探し物の旅

村人Aがぽつりと呟いた。

「……私たちも、彼がやってないことは信じたい……。けど、ポータルが……」


ポータル……ポータルが破壊された?

僕は、弟の無実を証明しようとするあまり、肝心なことに気づいていなかった。


「ポータルがなかったら、リスポーンできない。」


その言葉を口にした瞬間、時間が止まったかのように感じた。

数秒間、世界の音がすべて消えたような――そんな錯覚。


次の瞬間、僕は本能的にあたりを見渡した。

村人の何人かは、恐怖でその場に崩れ落ち、涙をこぼしていた。

ガーフ、戦士、盗賊――みんな岩のように動かず、目を見開いていた。

誰もが、その意味の重さを理解していた。


そして――ナルディア。

彼女の顔に浮かぶ表情は、僕が今まで見たことのないものだった。


「やってない……やるはずがない……!」

彼女の声は震えていた。けれど、すぐに強さを取り戻す。

「真犯人がいるはずよ……!必ずいる!私たちが――見つけ出す!!」


村人たちは重い沈黙の中で、ひとつの提案を出した。

十五日間。

その間に真犯人を見つけられなければ、弟は「有罪」とされてしまう。


こうして、僕たちは――“真犯人を見つけるための旅”に出ることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る