2神秘ポータル

「うっし、今日もいっちょ討伐しますか」

そう言って僕は家を出た。


勇者になると、感謝されることも多くて、色々もらえるんだよな。

今朝も村の農民たちが「朝ごはんにどうぞ」って、焼きたてのパンを差し入れてくれた。ありがたい。


すると、村の子供が駆け寄ってくる。

「勇者様! 今日も討伐に行くの?」

「ああ、そうだよ」と僕は答えた。

「すげぇ、カッケー! 僕も行きたいなー!」


するとナルディアが前に出て、やさしく子供に言った。

「ごめんね、マルコット。あそこは危ないから、連れてはいけないの。帰ってきたら、他の子たちも集めて一緒に遊んであげるから」

マルコットは少し残念そうにしながらも、「頑張ってね」と言って親の元へ戻っていった。


パンをかじりながら、市民たちに見送られて僕たちは討伐に向かう。

「ナルディアって面倒見いいし、よく人の名前覚えられるよな」

「もちろんよ。弟を小さいころから面倒見てるからね!」

そんな話をしながら、みんな上機嫌で歩いていった。今日は天気もいいし、空気も気持ちいい。


危険エリアに到着。戦闘開始。


「よーし、今日も楽に討伐しちゃいますか」


いつものようにゴブリンたちを倒していく。だけど、今日は珍しくやられちゃったんだ。

不意打ちだった。奴ら、数も多かったし、しかも奇襲を仕掛けてきやがった。


普段のモンスターたちは、こっちから手を出さなければ大人しいことが多い。

でも、たまにいきなり人を襲ってくる奴らがいる。

だからこそ、僕たちは毎日モンスター討伐を続けてる。


今回のゴブリンたちは容赦なかった。僕たちは次々に倒されて――

でも大丈夫。リスポーンできるから。


教会で僕たちは目を覚ました。

リスポーンはいつもここ、教会の黄色い光るポータルから始まる。

死んだ瞬間、人はそこから排出される仕組みだ。


「まじで信じられない! なんなのもう!!」

「くっそ、あいつら!!」


仲間たちはかなりイライラしていた。特に戦士は拳を握りしめてつぶやく。

「くそ…クソっ。直しどころはいくらでもあるみたいだな…」

どうやら、自分自身に怒ってるみたいだ。


僕も今回の失敗は、ちゃんと見直さなきゃな。


そんな中、盗賊だけはいつも通りヘラヘラしていた。

「まぁしょうがないしょうがない! さっさとまた倒しに行くしかないね」

ほんと、彼女はお気楽さんだ。


でも言ってることは間違ってない。立ち止まってる時間はない。

僕たちはもう一度、討伐へと向かった。

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