第3話
昼下がりの英語の講習中、甲斐はほとんど心ここにあらずだった。
ふとした拍子に講習テキストをぱらぱらとめくって最初のページを目にしては、八木沼の微笑を思い出す。受験生としてなんとも不甲斐なし、受験生としてなんとも言い難いスペルミス。情けなさを少しも感じないわけではないけれど、それ以上に心が弾んでいた。
今日はとても珍しいものを見ることができた。そしてこれからまた、八木沼がラブレターを食べる姿が見られる。
英語の講習では、甲斐は窓際の一番前、八木沼その五つ後ろ、列の最後尾に座っている。もし隣席とかだったら、ついちらちらと彼の姿を盗み見てしまっていたかもしれない。
終鈴が鳴り、授業道具をいそいそと片づけた甲斐はリュックを背負うと、列の最後尾へと向かった。
だが、そこに八木沼の姿はすでになかった。机上はまっさら、バッグの類もどこにもない。
——え、帰った?
甲斐だって終鈴からすぐに行動したというのに、八木沼はそれより先に出て行ったというのか。
——約束、したのに。
昼休みのあの出来事はもしかして本当に、白昼夢だったというのか。そうでないのならば、あしらわれただけだったのか。薄暗い不安がにわかに芽生える。
——でも、八木沼さんってそういうことするかな。
甲斐は八木沼のことを大して知らない。けれど、彼のまっすぐで透徹とした漆黒の瞳をなぞると……それに、教室を出る間際に見せてくれた微笑みを思うと、虚言で人の心を弄ぶようには思えなかった。
そうは思っても、八木沼が甲斐を置いて教室を出て行ってしまったのもまた事実なわけで。
——連絡先、交換しておけばよかったなぁ。
廊下ですれ違う生徒たちの顔を確認しつつ、とりあえず自分のクラスに向かってみる。今日は掃除当番ではないが、教室前にあるロッカーに荷物を置いたり回収したりをしている可能性があると思った。だが、そこにも八木沼の姿はなかった。
念のため、と出入口から教室の中も覗いてみる。講習を終えたばかりの生徒がまだ多くいて、ぼんやりとする顔々を眺め回す。八木沼はいなさそうだ。
代わりにというわけでもないが、渋谷と大井は見つけた。窓際後方の席で机上にテキストを出したまま駄弁っているのを見るに、この教室で講習を受けていたのだろう。ふたりは甲斐に気づくと、渋谷の方がぱっと瞳を見開いて、犬の如くこちらに駆け寄ってくきた。
「甲斐ー、昼に連絡したのになんで返事くれないんだよ」
きょとんと眼をしばたたいた甲斐は、ポケットからスマホを取り出して見てみた。SNSアプリを開くと、たしかに昼休み時間に渋谷からメッセージを受信していたようだった。
「悪い、瀬見ちゃんから手伝い頼まれて見る余裕なかった。午後の講義、英語でさ」
二日間の懊悩によって他に気を向ける余裕がなかったというのもあるけれど、一応、嘘ではない。
「あー。瀬見ちゃんってやさしそうに見えて結構人使い荒いよな」
「ふぅん、それでか。ずいぶんと変な組み合わせだと思ったんだよね」
大井が、渋谷の後にゆったりと続いて来る。含みのあるその物言いに、甲斐と渋谷はそろって首を傾げた。大井は目じりが甘く垂れた瞳をそっと細めた。
「トイレに行こうとしたときに、甲斐が八木沼と歩いてるの見たから」
「え、なにその組み合わせ」
「八木沼も午後、英語だったから」
「それで無理やり組まされたってこと? 気まずかったろ、カワイソウに」
むしろ自ら飛び込んでいった。気まずくはあったけれど、甲斐にとってあれはいい時間だった……八木沼と交わした約束はいまのところ宙ぶらりん状態だけれど。
嫌な同情に胸がもやりとするも、しかし甲斐と八木沼の間に起きていることを彼らに説明するわけにもいかない。
「それよりさ、連絡ってなんの用だったの」
甲斐は曖昧な笑みを浮かべて、話題を逸らすことにした。単純な渋谷はあっさりとそれに乗っかってくる。
「放課後、ゲーセン行こって話。UFOキャッチャーで欲しい景品があってさぁ」
「甲斐が得意だから集りたいんだよ」
「ちょっと、悪い言い方すんなよ」
「本当の事じゃん」
「ちゃんと金は出すし。あー、早く小賀来ねぇかな」
「焦らなくても景品は逃げないよ」
「逃げなくとも誰かに取られちゃうかもしれないじゃん」
「あのキショ……趣味のよくないキャラクターが?」
「聞こえてんぞ!」
にやにやと揶揄する大井に渋谷はつんと唇を尖らせる。甲斐は内心で思う。
この間はカラオケ、今日はゲーセン。遊びの誘いがない日も、帰路の途中でファミレスやファストフードに立ち寄る雰囲気になっては暮れるまでだらだら駄弁っている。一応夏休み期間といえど高校三年生がそれでいいのだろうか。
もちろん口に出しはしない。この場の空気を悪くする気はさらさらないし、そもそも自分は言えた立場ではない。
つるんでいるメンツの中で見ればマシだが、三学年全体で見たらまぁまぁ芳しくない成績。夢や目標は特になく、なんとなくで選んでいる志望校は春の模試でC判定。この夏期講習期間においても、数学やら英語やらで受験生らしからぬ失態をおかしている。
だからこの輪の中にいると少し安心する。ぬるま湯にだらりと揺蕩っている人間は他にもいる。勉強はできずともそれなりに上手く世を渡れている気分になる……それと同時に、自身の深いところ、脳天から降りている体を支えている軸のようなものが、ぬるりと溶けて揺らぐような感覚もする。
「出入り口に立ってると邪魔だよ」
割って入ってきた鈴を転がすような声に、甲斐はどきりとロッカーの方を向く。そこにはいつの間にか、橘がいた。彼女の名前が記されたロッカー開け、中からなんらかのテキストを取り出しているところだった。高い位置にひとつに結ばれた栗色の髪が、彼女の仕草にふわりと揺れる。
「渋谷君たち、毎日毎日よく遊ぶね。受験生なのに」
「橘さんも一緒に行く? 一気に華やかになるんだけど!」
「パス。今日は図書室で美穂たちと勉強するの」
「ちぇ、真面目だなぁ」
「受験生なので」
「うぇー、聞きたくないワード」
「聞きたくなくても現実なんだからちゃんと受け止めなさい」
教師然としていったかと思えば、口元に手を当てて小さく笑うその様は実に可憐だった。
「でも」
ふいに、橘のくりっとした大きな瞳が甲斐の方に傾く。
「甲斐君、UFOキャッチャー上手いって本当?」
まさか水を向けられると思っていなかった甲斐は、驚きの声をあげそうになるのを堪えた。
ついでに視線をあっちらこっちらきょろつかせそうになるのもぐっと我慢しながら、必死に平静を装って口を開く。
「人並みだと、思うけど」
「でも、渋谷君からお手伝い頼まれるほどではあるんでしょ」
「特技の欄に書けるレベルだと思うよ、俺は。俺がスマホにつけてるブサネコ取ってくれたのも甲斐だし」
「すごいじゃん。実は……私もちょうどほしいものがあるんだよね。もしよかったら、今度頼ってもいい?」
眉を下げ、上目遣いで、胸の前でそっと両手の指先を重ね合わせる橘。甲斐の胸は当然のごとくきゅうんと締め付けられた。
ミスコンで入賞するほどに見目が麗しく、成績も学年上位に入るほどに優秀。まさに才色兼備なうえに、誰とでも円滑にコミュニケーションを交わし、友人もたくさんいる。同じ箱庭にいながらも、はるか高嶺で燦然と咲いているアイドルのような存在。
手が届くわけがないことをは理解しているし、そもそも、人の目を気にするうえに変質を抱えた自分が人様とまともに恋愛できるとは到底思えない。
それでも、甲斐は彼女に恋をしてしまった。三年生になったその日、たまたま隣席だった彼女に消しゴムを貸して「甲斐君、だっけ? ありがとう」と笑う彼女が、とても眩しくてきらきらしていたから。
「じゃあ、夏期講習最終日に打ち上げで遊ぶとか、どう? うちの甲斐、使えるよ」
「うちの甲斐って。まぁ、それくらいの息抜きならいいかな。美穂たちも誘っていい?」
「もちろん! むしろじゃんじゃん誘って! 女子が多い方が場が明るくなるし?」
「ふふ、なにそれ」
それから渋谷と二、三言を交わした橘が「じゃあ、またね」と言ってその場を離れる。甲斐もその流れに乗るようにして、両手を合わせた。
「悪い、実は俺も今日ちょっと用事あって」
「えー、最近甲斐ノリ悪くね?」
約束を交わしたはずの八木沼の姿は見つからない。それでもまだ反故されたとは思いきれておらず、それに橘に会ったことで彼女へのラブレターのことを考えた。箱の中に隠し蓋をし暗いところにしまっている、行き場のない思いたち。あれらが、今日ついに日の目を浴びるかもしれないのだ。
「今度埋め合わせするからさ」
つとめて申し訳なさそうに言えば、渋谷はまたつんと唇を尖らせたもののあっさりと引いてくれた。
この場にいるのが渋谷と大井だけでよかった。渋谷は結構単純だし、大井は読めないところがあるものの基本的には来るもの拒まず去る者負わずといった雰囲気がある。もし小賀に誘われていたらもう少してこずっていたか、折れていたかもしれない。
そうして甲斐は教室を離れたが、しかし、他に八木沼が行きそうな場所の心当たりはなかった。
——委員会はともかく、部活は入ってなさそうだよな。休み時間もいつも教室にひとりでいるし。
鋭く凛とした、犀の角みたいな孤高を脳裏に浮かべる。甲斐は小賀たちの輪の中で揺蕩いながら自分の軸が溶け揺らぐたび、どうしてかふと、彼の方を見てしまう。
——昇降口で待ってたりするかな……?
かろうじて浮かぶ可能性に縋って、甲斐は昇降口へと足を運んだ。
自クラスの靴箱に向かってみるも、その周辺を見渡してみるも、ここにも八木沼の姿はなかった。
「……帰ったのか?」
別に、友達ではないけれど。口約束だけれど。それでも、八木沼に弄ばれた可能性が少しずつ上昇してきて、甲斐はだんだんと悲しい気持ちになった。
しょんぼりと肩を落とし、頭を垂れながら、登下校時に染み付いた無意識の癖で自身の出席番号が記された靴箱に視線を向ける。そして、ふと、気づく。
甲斐のスニーカーの中に、白いものが覗いていた。目を瞠り指を突っ込んでみると、それは綺麗に四つにおられた小さなメモ用紙だった。開くとそこには「駅、南口で待つ」と記されている。線が細く、角ばった、跳ねの少し大きな字だった。
もしかして、八木沼が残したものだろうか。
八木沼の筆致は見たことがある、というか、所持している。国語表現の授業で、隣席が故の因果でそういう機会があった。ぼんやりとだが記憶に残っている八木沼の文字と似ている気がした。
学校の正門を出た左手側にゆるやかな下り坂がある。一キロほどあるそれをくだったふもとには、地下鉄通学の生徒が利用している駅がある。甲斐も利用者のひとりだ。近辺にそれ以外の駅はないから、向かうのはそこでいいのだろうが。
——でもなんでわざわざ駅で待ち合わせるんだ?
同じ英語の講習を受けていたのだから、一緒に学校を出ればよかったのに。そのうえ、どうして、南口。学校と繋がる出口とは真逆だ。
八木沼の行動意図がちっとも読めず、頭上に疑問符がポコポコと浮かんで止まない。それでも昼休みの約束は現実で有効だった可能性が高まったのは嬉しかった。甲斐は一刻でも早く合流するべく、少し駆け足で下り坂を進んだ。
放課後になっても、夏の日はまだ高い位置で燦燦と輝いている。照らされると皮膚が焼けるようにじりじりとして、走っているのも相まって額や背にしきりに汗が滲む。
——そういえば、八木沼さんはなんであれが俺が書いたラブレターだって気づいたんだろう。
道中、ポケットにしまった、八木沼っぽい筆致が残るメモを思い浮かべながら、甲斐は考えた。
甲斐はラブレターを書くときに日ごろから注意していることがみっつある。
普段とは違う筆致で描くこと。
特定の出来事を言及しないこと。
そして自分は勿論、他人、そして思い人である橘も含む個人名を決して出さないこと。
それはときたま訪れる思いを伝えたくなる衝動にいつでも対応できるようにするため、そして送り主の素性や彼女との関係性を推理する材料をなくすため。つまり甲斐のラブレターは感情以外のすべてを排除しており、それはポエムと呼ばれても否定できない代物となっている。
そして日頃の態度はラブレターとは逆に橘への恋心だけを懸命に隠している。結果として本人にも、彼女と近しい小賀にもバレていないはずだ。バレていたら、きっと盛大に弄られているだろうから。
ラブレターも恋心も上手くやりくりできている自信があった。なのに、八木沼にはどうして見破られてしまったのだろう。純粋な疑問と今後の参考のためにぜひともその理由を聞きたい。
——家に呼べたんだし、それくらいの質問とか会話とか……できるよな?
昼休みに湧いたような妙な勇気がまた働いてほしいけれど。
辿り着いた駅の構内に入った甲斐はひと息吐き、額の背を腕で拭った。
いっそうの緊張を抱きながら、向かった南口。出ると、年季の入った商店がいくつか並んでいる。人通りも車通りも少なく、長閑だった。
その中の喫茶店の脇に、八木沼の姿を見つけた。
緊張はより高まり、それと同時に安堵する。約束は有効で、やっぱり八木沼は他人を弄ぶような人ではなかった。
八木沼は本を読んでいた。手元には有名書店のカバーが掛けられた文庫本。少し長い前髪の向こうにある三白眼気味の瞳が文字を辿っている。
クラスの中で沈んでいるような、浮いているような存在。誰とも深くかかわらず、体育の準備体操ではいつも余って教師と組んでいる。彼を陰気だとかぼっちだとか揶揄する声を、小賀たち以外からも聞いたことがある。
だが甲斐は彼は孤独ではなく、孤高な人だと思う。好んでひとりを選んでいる、選ぶことができる、気高く強い人だと。
八木沼の背筋はいつだってまっすぐに伸びていて、人と目を見て話すことができて、対話する声は静かながらはっきりと澄んでいる。そして風体も——綺麗なのだ、この人は。
どうして彼の美しさがちっとも話題に上がらないのか、甲斐は不思議でならない。
前髪が少し長いせいだろうか。切ったら分かりやすくなるか。ファンとかがつく可能性だってある。いやむしろそれが煩わしいからあえて伸ばしていたりするのだろうか。
持て囃された経験があってもおかしくないぐらいには端正だし、八木沼はそういうものをあまり好まなさそうなイメージがある。まさに今この状態、ひとりで物静かに読書に耽ることが好きそうだ。
だが、甲斐はふと引っ掛かりを覚えた。脳裏には、昼休みに見た八木沼の微笑。
あの微笑は、孤高を愛するにしてはあまりにも自然で、やわらかかった——。
「来たか」
発された声に、目の前でシャボン玉が弾けるように、浸ってた思考から現実へと引き戻される。
八木沼は流麗な仕草で本にしおりを挟むと、こちらを見た。
「甲斐の家の最寄り駅、どこ」
「え、あ……水吹(みすい)だけど」
「なら途中で乗り換えか。じゃあ、乗換駅のホームでまた合流で。三番乗り場あたり」
本を閉じスクールバッグを肩に掛け直した八木沼は、甲斐の横を通って駅構内へ進み、改札内に入場する。
呼び止めるもなく颯爽と行く彼の跡を、甲斐は慌てて追った。やっと追いつくと同時に電車が到着し、同じ出入り口から乗車する。甲斐が八木沼の近くに座ろうとしたら、じろりとひと睨みされ、どうしてか別の車両に離れられた。
——なんでそんなに別行動をしたがるんだ……?
目的地は一緒なのに。明確な拒みを追う度胸は甲斐にはなかった。
——少しでも一緒にいたくないくらい、俺のことが嫌い、とか。
かねてから八木沼は甲斐に対して思うところがあるようだった。でなければ、目が合うたびに八木沼が甲斐を睨むわけがないし、その鋭さに甲斐が彼を「八木沼さん」と呼ぶほどの恐怖を覚えることもなかった。そのうえ、甲斐は八木沼の不可侵をおかした。嫌われていてもおかしくはない。
だが、それならばなぜ八木沼は甲斐の家に行くことをよしとしたのだろう。その嫌悪を通り越すほどに、八木沼にとってラブレターは魅力的なものなのだろうか。
乗り換えをしてもなお、八木沼は甲斐と距離を取っていた。久々に二人が肩を並べたのは、甲斐の最寄り駅について、あまり人気のない住宅街に出てからだった。
先までの別行動に対して八木沼は一切言及せず、黙々と甲斐についてくる。甲斐は何度か八木沼に話しかけようとしたが、できなかった。
話題がないわけではない。八木沼に聞きたいことはいくつもある。だが、それを聞いて八木沼は不快にならないだろうか、少しでも八木沼からの嫌悪を和らげるためには話しかけないで放っておくのが一番なのではないかという結論に辿り着き、勇気が萎んだ。
気まずい無言のまま歩くこと約十分、ベージュの三角屋根に白い外壁の二階家に辿り着く。甲斐の自宅だ。父母どちらもまだ仕事から帰ってきていない時間だから、小学生の頃から持ち歩いている鍵で開錠する。
二階の自室に八木沼を案内してから、甲斐は台所で飲み物とお菓子を用意した。冷たい麦茶と、せんべいと、小さなチョコレート。八木沼の食の好みを知らないから無難で、なんとなく手を汚すことが好きではなさそうだから個包装されたものを。
自室に戻ると、黒いカーペットの上で綺麗に正座をした八木沼がいて、少しどきりとした。いや、いない方が驚くけれど、なんというか……見慣れた自分の部屋に彼がいることに対する違和感とちょっとした恥じらいが湧く。別段散らかしているつもりはないのに、もっと部屋綺麗にしておけばよかったと思ってしまう。
「飲み物とお菓子、持ってきたんだけど……苦手なものある?」
ひとり分ほどの距離を開けて八木沼の隣に下ろし、間にトレーを置く。
「ない。ありがとう」
「どう、いたしまして」
ぎこちないラリーはそこで終わる。無言が落ち、扇風機の羽音と、妙に喉が渇いて止まない甲斐がお茶を飲む音だけが響く。間もなくして耐えがたくなった甲斐はすくっと立ち上がった。
「ラブレター、用意するね」
クローゼットを開け、衣服の群れを分けながら奥の方へと手を伸ばす。
過去のラブレターをしまった箱はいくつかあるが、いったん、高校三年生になってからしたためたものが詰まっているそれを取り出す。バスケットボール大のシンプルな白い箱。
先と同じ位置に座り、蓋を開ける。人がいるところで開けるのははじめてだったから、勇気が要った。中には手紙が所せましと詰まっている。
「これ全部、ラブレターなのか」
甲斐と箱を交互に見やった八木沼が問うてくる。
「こんなんでも俺の一部だと思うと、なんか捨てられなくて」
甲斐はへらりとした笑みを浮かべながら、客にメニューを渡すファミレス店員が如く、八木沼の前にすすっと箱を押し出す。
「どれでも好きなのを、どうぞ」
八木沼はまた何度か甲斐と箱を見比べ、やがて慎重な手つきで真ん中あたりにある淡い桃色の封筒を取り出した。
「封蝋してあるけど」
「ぜんぜん開けちゃっていいよ。渡せずとも手紙だから、一応閉じるまでしてるだけだから」
「読み返したりはしないの」
「まさか」
ぶんぶんと首と手を横に振る甲斐に、八木沼は首を傾げる。
「捨てられない、自分の一部なのに?」
「そうだけど……自分でもおかしいって分かってるものを読み返す勇気は、ちょっと……」
しばし八木沼は甲斐を見つめていた。なにかを見透かさんばかりのまっすぐな黒に耐えかねて甲斐が視線を逸らすと、八木沼は小さく「なるほどな」と呟いた。
それから八木沼は封蝋にそっと触れた。
「一応にしては、ずいぶん凝った封蝋だな」
紅色の蝋には、金のメタリックペンで縁取られた薔薇が浮かぶ。紅と、自分よりもずっと繊細で色の白い指先のコントラストに、少し見惚れてしまう。
「これ、シールとかじゃないだろ」
「親が文房具関連の仕事してる影響で多少造詣があるっていうか、だからちょっと凝りたくなっちゃう、みたいな——」
それらは決して嘘ではない、けれど。
八木沼のまっすぐな眼差しに、彼には既に自身の変質をずいぶん見せてしまっていることに、甲斐は咄嗟に張ったバリアをそっと解いて、ぽつぽつと続けた。
「……俺個人としても、文房具ってものが結構好きだから。それに、好きな人を思って作るものだから」
できうる限りの思いを込めて作りたくなってしまう。たとえ、そのほとんどが渡せなくても。
同性で自分と同じくらい文房具に興味がある人を見たことがない。好きな人を思って作るにしたってこんなのは重たすぎる。変であることを、自覚している。自覚している変質を告白するのは、怖い。
それでも、八木沼にならば明かせた。八木沼は揶揄も笑いもせずに、ただ小さく「そう」と呟いた。その声は、細んだ瞳は、やわらかで、甲斐の胸にじんとあたたかなものが滲む。
「本当に、中、見ていいんだな」
「うん。いいよ」
慎重に確認し、丁寧な手つきで封蝋を開けた八木沼は、分厚い便箋の束を取り、手に持つ。
またたしかめるように一瞥されたから、浅く頷けば、八木沼は紙面に視線を落とした。
再び落ちる無言。甲斐はまた渇きを覚える。だが、静かに、真剣に手紙を読んでいる彼を見ると、いたたまれなさとともに少しも邪魔をしてはいけないような、したくないような気がして、微動だにせず呼吸さえも潜めた。
とはいえ、内心はひどく落ち着かない。彼が内容を見てなにを思っているのか、いつ便箋をちぎりだすのか、またあの恍惚を見られるだろうか。気になって、緊張して、どきどきする。ともすれば、鼓動の音が漏れ聞こえてしまわないかと不安になるほどに。
どうにか静めようと寿限無やら、知る限りの素数やらを唱えながらもちらちらと八木沼を窺っていると、ふと、思い出すことがあった。
甲斐は以前にも、甲斐の書いた手紙を持つ八木沼を見たことがある。
二か月ほど前の国語表現の授業で、手紙を書いて隣席の人と交換をしよう、という課題が出たことがあった。そして甲斐の隣席は八木沼だった。彼の筆致を手に入れたのもこのときだ。
手紙のテーマは特に定められていなかったからこそ、甲斐はその課題にそれなりに苦心した。
相手に対する感想がなにもなければ、逆に良かったのかもしれない。だが甲斐は、気づいた頃にはクラスの孤高にいた八木沼を、時々見てはいたし、やっぱり美しいなと思っていた。
それを文章に起こすか否か、いや否だ、ただでさえ縁のない同性の同級生から「美しい」なんて言われたら気持ち悪いだろう、いでもじゃあ何を書くんだ、と言うのを何度も繰り返した。結局無難な季節の話題を水で薄めて伸ばして便箋を埋めた。八木沼からの手紙の内容も似たようなものだった。
——そういえば、あの頃はまだ八木沼さんと目が合っても睨まれることはなかった気がする。
手紙の執筆は宿題だったが、交換は授業中に行われた。そのときに必然的に目を合わせたが、八木沼の視線はやわらかくもなかったが別段尖ってもいなかったはず。
ということは五月以降……七月に入ってからはすでに睨まれていた気がするから、その間になにかしらのきっかけがあって、八木沼は甲斐に嫌悪を抱いたのだろうけれど。やっぱり特別何かあった覚えがなかった。
びり。
つい陥っていた沈思が破かれる。
ぱっと目を向ければ、八木沼が便箋をちぎっていた。
びり、びり、と桜の花弁ほどの大きさにちぎって、ちぎって、やがて——八木沼はそれを自身の口の中へと注ぎ落す。
味わうような咀嚼を経て、白い喉仏が上下する。八木沼の頬はほんのりと朱に染まっている。そしてまた便箋に視線を向けた八木沼は漆黒の瞳をきらりと煌めかせた。好物のお代わりがまだあると知った子どものようにあどけなく、純粋な光がそこにはあった。
八木沼はひたすら便箋を食べ続ける。
明らかに異様で、倒錯的。
なのにか、だからこそか、目を奪われる。
見惚れているうちに喉が鳴りそうになって、けれど鳴ってしまえば彼の食事を邪魔してしまいそうで切ないほど喉に力をこめて堪える。
そうして、窓から差し込む橙が少し濃くなっていた頃、八木沼は甲斐の分厚いラブレターを一通分食べ終えた。
「……美味しかった?」
躊躇いがちに、それでもどうしても気になって、甲斐は尋ねた。
八木沼は余韻に浸るように、まだ引かない熱に頬を染めながら、少しぼうっとした様子で答える。
「美味しくはない」
「えっ」
甲斐は呆然とする。
「あんなに美味しそうに食べるのに?」
「美味しそうに食べる?」
八木沼はわずかに瞳を瞠って、甲斐を見た。
それから彼にしては珍しく、心もとなく視線を彷徨わせた。
「……俺は、紙を食べても美味しいとは思わない」
「そう、なんだ」
「けど、充足感はある」
短く息を吐いた八木沼が、なんで、と続ける。
「なんで、俺が甲斐が橘にあてたラブレターを食べたか。聞いてきただろ」
「う、うん……教えてくれるの?」
つい声に期待を滲ませながら尋ねる。
「キュートアグレッションって知ってる?」
「キュートアグレッション」
聞いたことがない言葉だった。
「言葉通りの意味でかわいいものを見ると噛みついたり、つまんだり、攻撃したくなるっていう衝動を指す」
「それは、嫉妬的な?」
八木沼は首を横に振る。
「敵意も害意もない」
理解できずにさらに首を傾げる甲斐に、八木沼は続けた。
「ときめきすぎたが故の衝動、制御しきれない情動の発露……みたいな感じだ」
甲斐ははっと目を見開いた。キュートアグレッション自体は知らなかったが、その衝動には覚えがあった。
「それと似たようなもので」
言葉を切った八木沼は、視線を伏せる。不安げな躊躇。それでもやがて八木沼は重たそうに口を開いた。
「……俺が通っていた小学校では、小四から朝の読書タイムっていうのがあった。朝の会の中の十分間を小説を読むのに費やすってやつ。けど、その頃の俺は本を読むより外でサッカーする方がずっと好きだったし、漫画ならまだしも小説なんて教科書でしか読んだことがなかった。だから、朝の読書では姉が持ってた適当な小説をこっそり借りて、読んでるふりをすることにした」
外でサッカーをする八木沼。今の姿からだと、ちっとも想像がつかない。
「でも、読んでるふりをしてても文字は視界に飛び込んできて、情報は入ってきて……それで読んでいくうちにそれが恋愛を主題にした作品であることに気づいて、なんてものを読んでたんだって恥ずかしくなった。でも、一度物語を把握しちゃったら、続きが気になる。そうして読み進めていくうちに登場人物たちが恋愛感情に振り回されて、すれ違ったり、必死に思いを伝えようとしている姿に、胸が締め付けられるようになって……その感覚が忘れられなくて。今度は、図書館で恋愛ものの小説を借りて、読んでみた。そうしたら、やっぱり、胸が、きゅんとして」
八木沼の左手が彼の胸もとをそっと握る。白いシャツに浅い皴が浮かぶ。
「どうやら俺は恋愛小説が好きらしいって気づいた。もちろんまわりにそんなことを知られたら揶揄われるから、ひっそりと自覚して、ひっそりと楽しんでいた……それだけだったらよかった。秘密の趣味程度におさまってた。そこで、留まれていたらよかった。でも、中学二年のとき。クラスの女子からラブレターをもらって」
その言葉が発されると同時、あたりの空気がわずかに張り詰める。甲斐の肩も無意識に強張った。
「委員会が一緒だったり、修学旅行で班が一緒だったり、結構、仲がいい人で。でも、そんな素振りなかったし、誰かからラブレターを貰ったのもはじめてだから、すごくびっくりして。わざわざ封をしたものを渡しておきながら、その人はその場で読んでほしいって言ってきた。反応が見たかったのかもしれないし、返事を待つまでの時間が不安になったかも。真意は、分からない。ただ動転していた俺は理由なんて聞かずに、言われるままに、封筒を開けた」
「それで」と八木沼は小さく、静かに息継ぎをして口を開く。
「気づいたら、俺はそのラブレターを食べていた」
淡々と、八木沼は語る。
「彼女は顔を真っ青にして逃げ出した。放課後の人気がない踊り場でのことだった。でも、次の日にはそれはクラス中に広まっていた。昨日まで俺とサッカーをしていたやつらは、俺を無視する。昨日俺のことを好きだと言っていた女子は、俺との距離が少しでも縮まると肩を揺らして逃げる。誰も彼もが俺を気味悪がって、時々笑って、離れていく。大人たちも腫れ物扱いだ。教師は俺から弁解の言葉を引き出そうとして、親にまで話は渡って励まされたり慰められたりして。あの出来事を皮切りに世界が突然、針の筵になった」
積み木を積み重ねるような口ぶりで、だが時々、どうしても引き攣ってしまうようにその声は上擦る。
「恋愛小説が好きだった。文章化された恋心を読むときゅんとした。それだけだったらよかった。けど、俺は、それが現実の人間が、ただひとりを思ってしたためたものともなったら、理性を失って貪ってしまう性質をしていた」
八木沼はそっと瞳を細める。表面だけ見れば、微笑。だが昼休みに見たようなやわらかさはない。少しでも触れたら静かに崩れてしまいそうな、儚く、苦しい自嘲がそこにはあった。
「普通じゃないって、自分でも分かってる。でも、食べたくなっちゃったんだ。自分でも、制御しきれないくらいに、食べたくなっちゃうんだ」
言葉が出なかった。
身に覚えがあった。
甲斐も、自分の変質を自覚したのは中学生のときだった。
学祭で見た、演劇部のマドンナと呼ばれる先輩に一目惚れし、はじめてのラブレターを夜なべして認めた。もとから趣味で集めていた封筒や封蝋から彼女に合いそうなものを厳選して、我ながら上出来に仕上がったそれを渡そうと考えていた。
だが一睡した甲斐は気づく。自分が書いたラブレターが、かつて見た友人が女子からもらっていたものよりもずっと分厚く凝っていることに。
小学生の頃、嫌がらせを受けていた子をちょっとした正義感から庇い、数か月ほど仲間外れに巻き込まれた経験があった。それは甲斐の内に消えない傷を残し、以来周囲と異なる、普通じゃない行動をすることに対して恐れを抱くようになった。
変な人が見たら見て見ぬふり。誰かが誰かを傷つけていても見て見ぬふり。皆がそうしているから。ひとりぼっちになりたくないから。常に厳冬の隙間風が吹き込むようなあの寂しさをもう二度と味わいたくないから。
過去の傷と一睡を挟んだことによって、甲斐は〝普通のラブレター〟について調べて、慄いて、結果的に引き返すことができた。それでもラブレターをしたためることはやめられなかったし、ただ好きを伝えたいという気持ちが溢れた結果ときどき匿名で送りけるという奇妙な手段までも覚えてしまったが。
——でも、八木沼さんは。
かつて友人とサッカーをして遊んでいた少年は、どうして今、ひとりでいるのか。
それは心から望んでのことなのか。
甲斐は彼に強く気高い孤高を感じていた、けれど。
「え、なんで、泣いてんの」
驚く八木沼の声に、甲斐はぽかんとしてから、自分の頬が暖かに濡れていることに気づいた。指で触れれば水滴がつき、窓から差し込む夕日にちらりと煌めく。
「えっと、これは」
なにかを伝えたい気持ちはあった。
だが共感を口にするのはおこがましい気がして、慰めを口にするのは浅ましい気がして。様々な思いが去来しては喉のあたりで詰まり、涙だけがまたぽろぽろと溢れ落ちていく。
八木沼はしばし呆然としていたが、やがて、ぽつりと言った。
「甲斐は、感受性が豊かだな」
やわらかなものが頬に触れた。いつの間にか八木沼がハンカチを取り出し、甲斐の頬にあてがってくれていた。
「だから、俺は、お前のラブレター……いいと思う」
辛い過去を語ってくれた八木沼の方が、甲斐を慰めてくれている。
情けなくなって、けれど触れるハンカチのやわらかさについ頬を預けてしまう。
「ときめいたものを食べたくなっちゃうから食べた。これが、俺が甲斐のラブレターを食べた理由。甲斐の質問に対する答え。それで……甲斐も、似たようなこと、話してたから。もしかしたら、甲斐なら分かってくれるかもしれないって思って、話した」
「泣かれるとは思わなかったけれど」とちょっぴり申し訳なさそうな力ない微笑みを浮かべる八木沼に、甲斐は胸が激しく締め付けられるのを感じた。
「この間は勝手にお前の手紙読んで、食べて、ごめん。それから、お前の気持ちを利用して、脅してごめん。それなのに、また、食べさせてくれて、ありがとう。脅した口で言っても信じてもらえないかもしれないけれど……お前のこと、橘にも、誰にも言いふらしたりしないから」
八木沼は、人と話すときは大抵相手の目をしっかりと見る。
睨んでくるときの目はちょっと、だいぶ怖い。
けれど、面白いものを見るとやわらかく微笑む。
ハンカチをちゃんと持ち歩いていて、泣いている人に躊躇いなく差し出してくれる。
まだこれだけしか八木沼のことを知らないけれど、それでも、とても真面目で、まっすぐで、やさしい人であることは分かる。そしてその胸には深い傷を抱えている。
「長く居座って悪かった。それ、返さなくていいから」
八木沼はハンカチを甲斐の手に握らせると、スクールバッグを肩に掛け、腰を上げる。
甲斐は咄嗟に中腰になって、八木沼の手を掴んだ。その手は同じ夏の季節に生きているとは思えないくらい、ひんやりと冷えていた。
「俺も、ぜったい、八木沼さんのこと誰にも言わない。し、嫌じゃ、なかった」
下から八木沼を仰ぐのは新鮮だなと思った。わずかに見開かれた、切れ長な三白眼がよく見えた。
「俺、八木沼さんが俺の手紙食べてるところ見て、驚いたけど。嫌じゃなかった。むしろ……なんだろう、なんて言えばいいのか、適切な言葉がすぐに見つけられないんだけど……見てると、ふわふわして、胸がいっぱいになる感じがして。もっと八木沼さんが手紙を食べてるところが見たいって、思った。俺の手紙食べてほしいって、思った。だから」
泣き顔に、震え声。自分は今、なんて惨めな姿をさらしているのだろうと思う。きっと甲斐の知人がこの姿を見たら笑って揶揄うだろう。でも、八木沼なら、彼に見られるのなら大丈夫だと思えた。
「また、誘ってもいいですか」
八木沼と、もっと関わってみたいと思った。彼のことを知りたいと思った。そして、かなうならば、親しくなりたい。
ひとつ瞬いた八木沼が、そっと眉を下げる。
「だから、なんで敬語」
窓から差し込む暮れなずむ夕日に、やわらかに照らされながら、やがて八木沼は呆れたように目尻を緩めた。
「……まぁ、ラブレターなんてそう簡単に手に入らないから。食べさせてくれるっていうのなら、喜んで」
「本当に?」
「ああ」
「じゃあ、明日は? 空いてる? あ、ハンカチも、ちゃんと返すから」
「性急だな。まぁ、空いてるけど。そんなに……」
わずかに眉根を寄せた八木沼は、しかし、小さく首を横に振った。
「連絡先、聞いてもいいか。これからも会うなら交換した方が便利だろ」
「もちろん」
リュックからスマホを取り出し、メッセージアプリを開く。
「こっちでQRコード出す感じでいい?」
「悪い、そのアプリ入れてない」
露骨に唖然とした甲斐に、八木沼がスマホの画面を見せてくる。そこにはたしかに甲斐が友人との交流に当たり前に使っているメッセージアプリがない。というか、初期アプリと思しきものしか並んでいない。
やむをえずメールアドレスを交換すことにし、試しにメールを送りあう。
八木沼から届いたメッセージを開くと「よろしく」の四文字だけが浮かんでいた。
字面だけ見ればそっけない。けれど目の前で「ちゃんと届いたか」とこてんと首を傾げる八木沼を見ると、なんというか、味わいがある。すぐさま、こっそりと、メールに保護設定を施す。日頃あまり使わないアプリが、彼との交流のための場所になったみたいだった。
少しだけれど、距離が縮まった気がする。もっと親しくなるために、そして少し会話しやすくなった今だからこそ、尋ねたいことがあった。
「ねぇ、八木沼さん——」
八木沼が、目が合うたびに甲斐を睨んでいた理由を、嫌悪の訳を、確かめておきたい。
と思ったのだが。
「あ」
突然詰まった声を上げた八木沼の顔が、みるみるうちに青褪めていく。
「八木沼さん……?」
「悪い、帰る」
「え」
「お邪魔しました」
呆然とする甲斐を置いて、八木沼は颯爽と甲斐の部屋を辞する。
次の約束を取り付けることはできたし、連絡先も交換したけれど。
果たして、八木沼と仲良くなることはできるのか。甲斐は少しだけ不安になった。
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