プロローグ(2)光明(こうみょう)世界


この「光」が突然生命を持った。七色に輝く「光」から一つの「命」が生まれた。


「光の命」の誕生である。この「光の命」には心も意識も力もすべてがあった。

「光の命」は優しさに満ちていた。愛はその優しさに溶けこんでいた。

「光の命」は一人ぽっち。けれど、とても美しく完全無欠だった。


ふと「光の命」に悪戯(いたずら)心がわいた。

心にうかんだ「理想」をその輝きのまま創ってみたくなった。


「光の命」がそう思った瞬間、輝きながら、

優しく美しい「理想」が一つ生まれた。

「理想」はいつも「光の命」の中で遊んでいた。

ここで生きるということは遊ぶことだった。


創られたときからすべて一つに溶けこんでいた。

一目みただけではなにもないようにみえる。

心も体もまだわかれていない。

だからすべて含まれている。

だけどなにもみえない。


「無限次元」には物質になる前のすべてがあった。必要なモノは揃っている。

けれど密やかに、そっと隠されていた。

欲しいと思った瞬間、ポッと生まれ、浮かび上ってくる。


ダイヤモンドのように美しく輝く、虹にわかれる前の光と、優しい心と、きれいな

音律(おと)が溶けこんでいた。


すべては一つ。

だから「無限次元」に言葉はいらない。すべてわかっている。

だけどなにもわからない。なにもないのと同じ。

わかれていないだけで、すべての感情が溶けこんでいた。

なにもみえない。だから表現できない。


「光の命」は楽しくなって、もっと増やしたいと思った。

その瞬間「理想」がたくさん生まれた。


「理想」たちには別々の命が与えられているようにみえる。けれど真実の命は

「光の命」一つだけ。時間も空間もないから、永遠(とわ)に若いままだった。


老化(ふけ)ないし、お腹も空(す)かない。のども渇(かわ)かない。息をしないから、酸化しないし、病気にも罹(かか)らない。死がない世界。

働かないから、ストレスもない。だからといって、怠けているのではない。


「理想」がなにをしていても「光の命」の中の一つのできごと。「光の命」の中で「理想」はダイヤモンドの光を発散させながら幸せと喜びに浸っていた。


汚い面だけでは出られない。けれども良い面だけでも出られない。

「光の命」はふと冒険がしてみたくなった。


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