第9話 転生したらライオンでした...。仲間を守るために俺は生きる!?
目を覚ますと、温かい日差しが差し込み、ふわりとした風が肌を撫でる。目の前にはふわふわした茶色い獣が数匹寝ている。自分の手を見ると茶色い毛がついていた。
(……ライオン?)
転生か。ライオンに転生したのか。
今の俺にはそれが普通のことのように感じる。最初は混乱したものの、今ではその意味を理解している。
自分の犯した罪を償う。
でもこの身体、ライオンの赤ちゃんとしての一生をどう生きるのか、まだよくわからない。
「お母さん……?」
ふわふわした体を小さく動かし、周りを見渡すと、母ライオン?がそばにいるのが見えた。彼女の大きな目が優しく俺を見つめ、心配そうに耳を動かしている。
「大丈夫だよ、ちゃんと育つからね」
母ライオンの声が優しく響く。その言葉に少し安心しながら、俺はゆっくりと立ち上がろうとするが、足元がフラフラしてうまくいかない。
小さな足を一歩ずつ踏み出すのが精一杯だ。それでも、母ライオンは俺の側でじっと見守り、励ましの眼差しを送ってくれる。
「ゆっくりね、焦らなくてもいいよ」
少しずつ成長していく中で、俺はライオンとしての生活を学んでいった。
最初はただお母さんの後を追って歩き、やがてお父さんライオンが獲物を捕まえるのを見て学ぶ。ライオンの群れは、一つの大きな家族のように協力し合って生きている。狩りを学び、食事を分け合い、夜には星空の下で寝る。
日々が穏やかに過ぎる中、俺はだんだんと肉体的にも成長していった。小さな体は日に日に大きくなり、足腰も強くなっていく。子供の頃はただ遊ぶだけだったが、成長するにつれて群れの一員としての役割を果たさなければならないことを理解していった。
ある日、群れのリーダーである父ライオンが言った。
「お前たちも、そろそろ自分で獲物を追い詰められるようにならないといけない」
その言葉に、俺は一瞬不安を感じた。しかし、仲間たちと共に訓練を重ねるうちに、俺は少しずつ狩りの方法を覚えていった。体が大きくなるにつれ、力を使って獲物を追い詰めることもできるようになり、仲間たちとの連携も取れるようになった。
初めて獲物を仕留めた時のことを覚えている。
獲物が必死に逃げようとしたとき、俺はその背後に回り込んで仲間たちと共に狩りを成功させた。獲物が倒れると、群れの仲間たちは満足そうにその肉を分け合い、俺もその一部をもらうことができた。
「よくやった」
父ライオンが満足げに言ってくれる。俺はその言葉に胸を張り、心から嬉しさを感じた。自分が少しでも群れに貢献できたという実感があった。
~~~~~~
年月が流れ、俺は成長していった。もう赤ちゃんではなく、立派な青年ライオンとなった。しかし、そんな日々の中で、次第に俺は一つのことに気づくようになった。群れを守るために生きることの意味、それが自分にとってどういうことなのか、深く考えるようになった。
ある晩、群れに異変が起きた。突然、強いライオンが群れに挑戦してきたのだ。恐ろしい勢いで襲いかかってくるそのライオンは、見るからに強力だった。群れの中で戦いが始まり、俺はその中で必死に戦うことになった。
「お前たちの群れは俺が頂く!」
そのライオンは狂気のように吠えながら戦いを挑んできた。俺は必死に立ち向かうが、相手の力は想像以上に強い。けれど、群れを守らなければならないという思いが俺を奮い立たせる。力の限りを尽くして戦ったが、最後にはそのライオンを追い払うことができた。
戦いの後、俺は全身が疲れ切っていたが、群れの仲間たちは安心したように集まってきた。
「よくやった」
年老いた父ライオンが微笑んで言った。その言葉に、俺は胸がいっぱいになった。これが、俺が生きる意味だと確信できた瞬間だった。
その後、俺は群れの一員として、また一歩成長を果たす。そして、ある日、ふと気づいた。
転生してきた意味、犯した罪を償うための試練。それが何であったのかは、今もわからない。しかし、今はただ、このライオンとしての命を全うすることが俺の役目だと感じている。
俺はやがて、群れを守り続けるリーダーとなった。
そして幸せにも、今家族に囲まれながら天命を全うしようとしている。
俺の体はこれからも生きるライオン達の体の糧となる。
眠たくなってきた。
もう眠ることにした。
罪を償い、転生を繰り返してきた意味を理解する日が来ることを信じて。
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