第14話

第14話『【字幕にだけ現れる存在】"山の神"を映した動画に残された“視認不能の警告”』

記録:2023年12月1日/自動生成字幕ログおよび削除済み動画キャッシュより



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動画タイトルは「【超ヤバ映像】地元民すら近づかない“山の神の祠”で心霊検証してみた!」

例によってヨウは、誰も手をつけていないような山道を選び、夜間に撮影を敢行。


問題の動画では、ある小さな朽ちた祠を映している。


> 「これが“山の神”ってやつらしいっす。見た目しょぼいけどな」

「お供え物も何もないし、これマジで信仰されてんの?てか……臭くね?」




視聴者はいつものように茶化すヨウに乗っかり、チャット欄で笑い合っていた。

だが、ある瞬間からYouTubeの自動字幕に、不可解な表示が出始める。



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自動字幕ログ 抜粋(05:13〜)


> ヨウ:「ほら、なんも出ねえし〜w」

[字幕]:ココカラサキ ハイルナ


ヨウ:「よし、祠の中もライトで──」

[字幕]:ミルナ オマエヲ ミテイル





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ヨウの発言と字幕の内容が完全に一致しない。

声には出していない“警告”が、字幕としてだけ現れていた。


コメント欄には、気づいた視聴者の書き込みが相次いだ。


> 「おい今の字幕おかしくね?」

「テロップにだけ変なの出てる。本人何も言ってねえぞ?」

「怖すぎて鳥肌たったわ」





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ヨウは祠に向かってカメラを向け、内部をライトで照らす。

そのとき、画面が一瞬だけ乱れ、ノイズと共に“何か”が映る。

──だが、それを見た瞬間、字幕は全て英数字の文字化けに変わった。


> [字幕]:※%%/&×#@※%@〜




そのまま動画は終了。



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数日後、ヨウは「自動字幕がバグっただけっしょ。おもろかったわ」と笑っていたが、

その数日後、視聴者の一人が字幕ログを抽出・翻訳した結果、以下のことが判明する。


> 「字幕にだけ現れた文字列は、古代山岳信仰に使われた儀式言語の一部と酷似していた。

意訳すると“ここで記録する者は、次に連れて行かれる”」





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現在、この動画は削除済みでキャッシュしか残っていない。

元動画をダウンロードしようとした人の一部に、高熱や幻覚の症状が確認されているという。

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