第32話 コラボ第2弾、シズカ目線
【配信前夜・渋谷某所 シズカのアパート】
――きた、ついにきたっ!
シズカは布団の上でジタバタと暴れていた。
スマホの画面には、マオから届いたメッセージ。
> 「明日、昼から10層行くぞ。コラボ第二弾な。遅れんなよ」
その短い文面が、心臓を跳ね上がらせた。
「やば……やば……マオ姐と2回目のコラボって、え? 夢? いや、現実……っ!!」
布団を被っても、にやけが止まらない。
思い出すのは、前回の配信――あの再生回数、登録者爆増、切り抜き職人たちの大騒ぎ。
それが「一発屋」じゃなかったって、明日で証明できる。
「ユウトも、すっごく動きよかったし……でも今回はマオ隊全員参加でしょ? わああ、撮れ高しかない!!」
興奮して寝つけないまま、迎えた朝――。
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【渋谷ダンジョン 待機区画】
マオがゆっくりと現れる。ユウトも、その後ろに。
「おまたせ」
「し、失礼しますッ……!!」
反射的に深く頭を下げていた。
マオはくすっと笑って、肩を軽く叩いた。
「気楽にやりな。今回は“あんたの現場”でもあるんだからさ」
その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなる。
「はいっ!……絶対、いい映像にします!」
カウントダウンが始まる。
3、2、1――
シズカは深呼吸して、カメラを起動した。
「皆さんこんにちは! 渋谷ダンジョンより、超豪華ゲストとともにお送りします――“マオ隊×ユウト”第二弾、潜りますッ!!」
高鳴る心臓。広がる視聴者数。
これはもう、ただの配信じゃない。
物語が、また動き出す瞬間だった。
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【渋谷ダンジョン 第5層】
「――右、スライムじゃない、カメラくん、ズーム!」
思わず口に出しながら、シズカはスマホを片手に、全身で動く。
画面の向こうでは、マオとユウトが完全にシンクロした動きで敵の包囲を打ち崩していた。
「いっけええ! あ、今の回避見た!? 0.5秒前だよ!?」
音声にも熱がこもる。コメント欄が一気に沸騰した。
> 「神連携キター!」
「マオ姐ガチじゃん」
「ユウトの回避おかしいw」
「この画角最高!シズカ有能!」
(うわ、3000人超えてる!? いや、4000……5000!?)
視聴者数はリアルタイムで加速していた。
体感でわかる。「今、観てる人たちは、この瞬間を“共有してる”」――その熱。
エミの氷術が空間を裂き、クロの双槍が敵を吹き飛ばす。
リュウジの豪快な突撃の陰で、マオが静かに一体を斬る。
その流れの中を、まるで風のようにユウトが駆け抜け、残った敵の首元に――
「斬ったッ!」
シャッターを切る音が重なるように、視聴者コメントが一気に流れる。
> 「今の一撃スローで観たい!」
「切り抜き職人仕事だ!」
「ユウトって何者なのほんと」
「見えなかったけど斬ってたw」
シズカは叫びながら、でも絶対にブレないようにスマホを支える。
もう、手が震えるほど興奮していた。
(これ……今、歴史作ってない!?)
自分が何かすごいものを記録している――その実感が、
配信者としての彼女の背中を押していた。
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「視聴者数、10000人超えましたぁぁぁああ!!!」
あまりに嬉しくて叫ぶと、マオがチラッとこちらを見て、
「集中しろ、配信者」
とだけ言って笑った。
それだけで、全身がビリビリと震える。
(……絶対に、最後まで撮る。誰よりも、この瞬間を届けてやる!)
この日――
渋谷の地下で撮られたこの映像は、1週間後、“ダンジョン動画の金字塔”として語られることになる。
でもそのとき、誰よりもそれを信じていたのは――
カメラを握る、彼女だった。
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