第22話 教えて

―—―グロリアーナ、それはヤハウェの専用武器の総称でありヤハウェの身体能力を大幅に強化することができる


「神技—―ラディ・イフランゲンテース」


数多もの光の矢でフィルマシエルの逃げ道をふさぐ


「神技—―トランスラティオ・インス―—―」


「チェスドォオオォオオ゛」


フィルマシエルが神技で逃げようとするが

それの発動よりも早くフィルマシエルの体に斧がめり込む


「—―—う゛っ」


フィルマシエルは地面にたたきつけられた


「—―うぉおおおおおおお!」


ルクスがとどめの一撃と言わんばかりに豪快に斧を振り下ろす


―—―が


「—―—タネア」


中断したはずの詠唱を唱える。刹那、フィルマシエルの姿が消えた。


「—―—ッ!?」


ルクスの背後に現れたフィルマシエルが背中に大剣を突き刺した


「う゛ぐぅう゛―—―」


―—―ドォオオオオン


ルクスが地面にめり込み、大剣が背中を貫通した


「油断したね」


―—―ブチブチブチブチッ


フィルマシエルがルクスに繋がった管を引きちぎりながら言ってくる


―—―グロリアーナの使用を終了します


ルクスの頭に女性の声が響いた


「いやぁ忘れてたね。戦い方を」


ルクスが諦めたかのように言う


―—―大丈夫、太陽結晶は傷ついてない。まだ生きられる。……いや、おかしい


「なぜ一撃で殺さなった」


スクスは真剣な眼差しでフィルマシエルに聞く


「言ったでしょ。私の目的はアンタに走馬灯を見せることだって」


フィルマシエルが嬉しそうに言う


―—―あぁ分かった。なんでフィルマシエルがこんなにも


「あ~なるほど。これから私が死ぬ瀬戸際まで痛めつけるってことか」


「そゆこと」


―—―こんなにも私に走馬灯を見せたい理由が


フィルマシエルは大剣を捻り、傷口をえぐる


「—―—ぐぁあああああっ!」


ルクスは痛みに悶絶する


ルクスの息が荒れる


「ストップストップ!」

そう言いルクスが地面をたたく

そして体に付いた砂やほこりをはらうと、


「ほら」


ルクスが大の字になり


「おいで」

フィルマシエルにむかって優しく言った


「……なにしてんだよ」


フィルマシエルが困惑したように言う


「なにってハグだよハグ。ぎゅーしよって言ってるんだよ」


ルクスがフィルマシエルにむかって手を差し伸べようともがく


「お前ふざけてるのか。仰向けにならないとできないだろ」


「仰向けじゃなくたっていいじゃん」


「それもそうだが違うよ!なんでいきなりハグしようって言いだしたんだよ」


フィルマシエルが困惑したように言う


「あのね、アンタが走馬灯走馬灯言ってるから私も必死に考えてみたんだよ」


ルクスがあきれたように言う


「……それで思い出せたのかよ」


「—―—まったく」


「お前ふざけ―—―」


「—―—でもね、なんとなく分かったんだよ。私はアンタのお姉ちゃんだって」


フィルマシエルの動きが止まる


「……そんな記憶私には無かった」


フィルマシエルが寂しそうに言う


「フィルマシエルはどんなことを思い出したの?言ってみ。全部聞いたげる」


―—―ドン


そう言いルクスは立ち上がると大剣を引き抜き地面に置いた


「ほら早く、私だってもう長くは生きられない」


そう言いフィルマシエルに抱き着く


フィルマシエルがあっと声を漏らした


「自分一人だけ思い出して辛かったよね。くやしかったよね。復讐したかったよね」


そう言いながらルクスはフィルマシエルの頭をなでる


「教えて、フィルマシエルにいや、私たちに何が起こったのか」


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