12人の星々は夜空の救世主

海風 山彦

プロローグ 海に輝く星

 子供の頃、誰しもがこの言葉を言われたことがあるだろう。


『夜に一人で出歩いてはいけません』


 だけど、そう言われるのは何故?

 不審者?誘拐?それとも夜道は暗くて危ないから?

 勿論、それもあるだろう。

 だが、1つ。決定的な理由がある。

 それは『影憑き』の存在だろう。

 もしかしたら、聞いたことの無い人もいるかもしれない、いや、聞いたことの無い方が多くを占めているだろう。

 影憑き、それは人々の負の感情を餌とし、宿主の自覚の無いまま体を蝕み、やがて影が飲み込む。

 だから、俺たち人間はどんなに辛いことがあっても、前を向いて、強く生きていかなければならない。

 でも、絶望や恐怖、妬みや恨み、そういった負の感情に負けてしまうのも俺たち人間だ。

 この物語は、夜という舞台で人知れず『影憑き』と戦い、影憑きに飲まれた者たちを“救済”する戦士達の物語である。


「なんちゃって……な……!」


 人けの1つもない港で、少年は天馬ペガサスにそう語りかけていた。


「それじゃあ、修行に戻るとするか!

 いくぞ、天馬、いや相棒!お前と俺で、海を輝かせるんだ!」


「ヒヒーン!」


 少年は天馬に跨り、空を駆け抜けていった。

 少年の腕元に着けている射手座を模ったブレスレットを握りしめると、月の光に反射して輝き出し、弓矢が現れた。

 少年はそれを手に取り、数多の星に矢を向けて放った。

 その姿は、少年の未来を暗示するかのように輝いていた。

 

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