最愛の恋人を寝取られて最強クランを追い出されていった俺、自暴自棄になって意味も無くボロボロな奴隷を買い漁って治癒魔法をかけまくってたらいつの間にか俺の事を慕う最強軍団が出来上がっていた件。

tama

第一章:幼馴染の恋人と兄貴分の親友に裏切られる

第1話:ついにS級クランに認定される

 とある日の午前中。冒険者ギルドにて。


「アルスさん、おめでとうございます! 本日よりクラン“悠久の刻”をS級クランに認定させて頂きます!」

「ありがとうございます! やった、これでついに最強のクランへと昇り詰める事が出来たぞ!」


 俺は盛大に喜びながらギルドの受付嬢からS級認定のクランプレートを受け取っていった。


 俺の名前はアルス。年齢は21歳の男で職業は冒険者だ。ちなみにジョブは回復士プリーストをしている。


 冒険者を初めたのは今から約10年程前。幼馴染のアンジェが一緒に冒険者になろうと誘ってきてくれたのがきっかけだ。


 俺はそれからすぐアンジェと共に冒険者となって、今までに幾つもの場所を冒険してきた。仲間の冒険者もどんどんと増えていった。そんな仲間達の集まる場所を作るために俺達は冒険者クラン“悠久の刻”を設立していった。


 悠久の刻を設立した時の最初のメンバーはたったの数人しかいなかったが、今では50人以上を越える大所帯となっている。


 10年近く前に設立した小さなクランがS級に認定される程にまで成長するなんて……はは、こんなに嬉しい事なんてないよな!


「これはきっとアンジェとギースも凄く喜んでくれるに違いないな!」


 俺はテンションを大きく上げていきながらそう言っていった。


 さっきも言ったようにアンジェは俺の幼馴染の女性だ。年齢は俺と同じく21歳の冒険者で、ジョブは剣士をしている。


 見た目は非常にスレンダーで美しくて綺麗な女性だ。そしてそんな綺麗な幼馴染のアンジェは俺の恋人でもあるんだ。


 アンジェとは一緒に冒険者になって3~4年経ってから付き合い始めた。もちろん告白は男らしく俺の方からしていった。するとアンジェは二つ返事でオッケーをしてくれたんだ。


 それから俺達は恋人として今日に至るまで毎日とても仲睦まじく過ごしてきた。そういえば俺達が付き合うって言ったら当時のギースも凄く喜んでくれてたよな。


「はは、思い返してみるとギースは昔から凄く良いヤツだったよなー」


 そんなギースは俺とアンジェが冒険者になって一番最初に知り合った先輩の冒険者だ。年齢は24歳でジョブは槍兵ランサーだ。


 ギースと初めて出会った当時、まだまだ新人冒険者だった俺とアンジェの事を凄く心配してくれて、ギースは俺達に冒険者として必要な知識を沢山叩きこんでいってくれたんだ。


 そんな縁もあってギースとはすぐに仲間になり一緒に冒険をするようになっていったんだ。だからギースとの付き合いはもう10年近くが経つ。昔から男気があって頼りになる兄貴分のような存在だったよな。


 ちなみにギースは俺達がクラン“悠久の刻”を設立した時の初期メンバーの一人であり、このクランのリーダーも担当している。副リーダーは俺が担当している。


 という事で俺は“悠久の刻”がS級クランに昇格した事をまず最初にクラン設立の初期メンバーかつリーダーであるギースと、同じく初期メンバーであり俺の恋人でもあるアンジェに報告をする事にした。


 確かアンジェとギースは今日は朝から打ち合わせがあるという事で、クラン拠点で仕事をすると言っていた。なので俺はアンジェとギースに知らせるためにすぐに“悠久の刻”の拠点へと駆けていった。


 ふふ、これは二人ともすっごく喜んでくれるだろうな!


◇◇◇◇


 それからしばらくして。俺は昔の事を色々と思い出しながらクラン拠点へと向かって行っていた。


「いやー、思えば冒険者になって凄く長い時間が経ったものだな」


 俺とアンジェが冒険者になったのは今から10年近く前だ。


 この世界では10歳になると教会で自分の才能適正を鑑定して貰えるんだ。例えばコックの才能があるとか、鍛冶士の才能があるとか、庭師の才能があるとか……人それぞれに固有の才能を持っており、その才能を活かした職業を選択するのが通例となっていた。


 そしてアンジェは10歳の時に教会で“剣士”の才能があると鑑定して貰えたんだ。この才能適正を受けてアンジェは冒険者になりたいと思ったらしい。


 そして俺も教会で才能判定をして貰うと、俺には“回復士”の才能があると鑑定して貰えた。その結果を受けてアンジェは俺に一緒に冒険者になろうと誘ってきてくれたんだ。


 俺は子供の頃から大好きだったアンジェとこれからもずっと一緒にいたいと思ってたので、俺はアンジェの誘いを受けて同じく冒険者になる事を決めていった。


「ふふ、それからアンジェとは本当に色々な事があったよなぁ……」


 才能適正を受けてからすぐに俺達は一緒に住んでた村を旅立ち、それから一緒に色々な土地を冒険していった。アンジェとは冒険者として何度も衝突して喧嘩もしてきたし、仲直りも沢山してきた。


 アンジェとは冒険者として辛い事も楽しい事も一緒に何度も経験をしてきたんだ。そして今はアンジェとは恋人として一緒に冒険をするようになっていった。


 そしてそんな恋人のアンジェとは悠久の刻がS級クランになったら結婚をしようと以前から誓い合っていた。つまり今回のS級昇格によって俺とアンジェは結婚をする事が決まったという事だ。


「よし、それじゃあここは男らしく……今日中にアンジェに結婚しようってちゃんと告白しなきゃだな!」


 俺はクラン拠点に向かいながらそんな事を言っていった。俺は今日中にアンジェに告白していくぞ。


 もちろん結婚指輪は既に用意してある。アンジェの大好きな赤いルビーの綺麗な指輪を事前に用意しておいたんだ。その指輪のケースは今俺の胸ポケットに入っている。


 実はそろそろS級クランに昇格する可能性があると思っていたので、俺は事前に宝石商にお願いして凄く綺麗な結婚指輪を作って貰ったんだ。


「ふふ、アンジェが喜んでくれると良いなぁ……」


 という事で俺はそんな喜ぶアンジェの顔を想像していきながら、俺は急いでクラン拠点に向かって行った。


 そしてそれから数分後。いよいよ俺はクランの拠点に到着した。


「よし、クランに到着したぞ……って、あれ?」


 クラン拠点に到着した俺はギースがいるはずのリーダー室に向かって行った。するとそのリーダー室のドアが少しだけ開いていた。そしてそんなリーダー室の中からは聞き覚えのある女性の声が聞こえて来た。それは俺の恋人であるアンジェの声だった。


 もしかしたらアンジェとギースが打ち合わせをしている最中かと思ったんだけど……でもそれは明らかに打ち合わせをしてるような声ではなかった。それは……。


「あ、んっ……ちゅっ……もう……激しいわよ……ギース……ん、ちゅっ……ちゅ……♡」

「ん、ちゅっ……ちゅぅ……はは、久々だからつい激しく求めちまったんだよ、アンジェ……ん、ちゅっ……ちゅぅ……ちゅぅ……♡」


(っ!?)


 それは打ち合わせをしているような声では決してなかった。どう聞いてもそれは淫らな会話にしか聞こえなかった。


(ま、まさか……)


 その瞬間、俺は心臓がバクバクと鳴り出した。まさかそんな訳はない。あの優しくて真面目なアンジェがそんな事をするわけがない。恋人の俺がいるのにギースと“そんな事”をする訳が無い……。


 俺はそう思いながらも、少しだけ開いてるドアの隙間から恐る恐る中を覗いていってみた。す、すると……。


「ちゅっ……ちゅぅ……ふふ、気持ち良いわ、ギース……もっとキスして……ん、ちゅっ……ちゅう……♡」

「ん、ちゅっ……ちゅぅ……ちゅぅ……あぁ、俺も凄く気持ち良いぞ、アンジェ……ん、ちゅっ……♡」


(……っ!? そ、そんなっ……!?)


 俺はリーダー室の中を見てしまった。そこではクランリーダーであるギースと俺の恋人であるアンジェが激しく抱き合いながら熱いキスを交わしていっていた。


 俺は見間違いかと思って目を擦りながらもう一度見ていったんだけど……二人の舌が絡まり合いながらディープキスをしてるのを俺はこの目でしっかりと見てしまった……。


(な、なんだよ……? こ、これは一体……何なんだよ……!?)


 俺はアンジェとギースの逢引きをマジマジと見てしまった訳だけど、でも俺の頭の整理は全く追いつかなかった。


 だ、だってアンジェは俺の彼女なんだぞ? アンジェとは結婚の約束だってしてるんだぞ? そして今日はいよいよアンジェに結婚しようって言うつもりだったんだぞ?


 そ、それなのに……それなのに何でアンジェはギースと激しく抱き合いながらキスをしてるんだよ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る